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連載小話・一話

お待たせしておりました。
連載小話の一話目がようやっと仕上がったので、まめっと投下します。
お目汚しではありますが、お楽しみ頂ければこれ幸いです。
前の記事にも書いていますが、毎週末に一話掲載する形でちまちまやっていこうと思っています。
未だ書き終えてませんが、放置しないように頑張りたい所存。

尚、本編の登場キャラは新作主人公、モノ電、鏡花のメイン格となっています。
他のキャラは、名前だけ登場していたりします。
基本シリアスですが、割とボケもあったりなかったり。
何かが起こるのは、大体三話くらいからなので、まったりどうぞ。

また、ネタバレ考慮しておらず、内容的にも各作品のクリア済みを推奨します。
新作キャラが出ている点にもご注意下さい。
此方もブログで以前書いたオールキャラ鍋話を既読済みの方が良いかもしれません。
新作キャラについても、そちらに載っています。
鍋話は、此方からどうぞ>オールキャラ・ネタ小話
そんな感じで、ドンと来いよ!という方は折り曲げからどうぞ。

 

※無断流用・転載厳禁です。

一話・はじまり


※セイタロウ視点です。

***

 ――ホームルームが終わり、先生が教室を出ていくと同時に、教室はざわめきに包まれた。
明日から三連休だからか、何処か浮き足立った空気を感じる。
 そんなクラスメイト達を他所に、特に予定も無かったぼくは、黙々と通学鞄に筆記用具と教科書、それからプリントを詰めた。
「せーたろーは、何か予定ある?」
 薄いプリン色の――生まれつきだという髪色が目立つシノメくんが、げっ歯類のような円(つぶ)らな目で問いかけてきた。
 ウチの学校は規則的には緩い方で、髪を染めている生徒そのものは珍しくない。
だけど、やっぱりこうして見るとまだらの無い薄いプリン色は目立つと思った。
 とはいえ、身近にいる先輩にも髪色が同じように生まれつき薄い人がいたから、あまり珍しいという実感は無いのだけれど。
「特に無いかな。
シノメくんは?」
「オレも無いかなぁ。
皆がヒマなら、また鍋でもしたいけどね」
 そのまま問いかえせば、シノメくんが首を捻りながら口にした。
「そうだね。
だけど、前みたいに前々から決めてた訳じゃないから、少し厳しいと思うよ。
距離が離れてる人達もいるんだから」
 ちょっと当時の事を思い出し、ぼくはぬるい笑みと共に指摘した。
鍋パーティ自体は楽しかったけれど、アクシデントも無くは無かったので、やっぱりちょっと考えたくなるお年頃だった。
「え、紅いタヌキがいるじゃん」
 けれど、シノメくんはきょとんとして返してくる。
うん、それを言われると、ぼくもぐうの音も出ない。
 というか、大体にして原型を留めつつもガッツリ人間を止めてる人と普通に知り合いというのが至極おかしいと思う。
いや、此処まできて言っちゃいけないところなのだけれど。
「……それはそうだけどさ。
スレイさん、会社員でしょ。
時差とか色々あるんだから、その辺も考えないと。
何より、ぼくはもうバイオなハザードはごめんだよ」
 色々と言いたい事をグッと堪え、ぼくは問題点だけを並べた。
貴重な癒し系でマトモな大人であるスレイさんと、その娘のシーリィちゃんは歓迎出来る。
 だけど、紅いタヌキは別だった。
「……それを言われると、確かにちょっと困るなぁ。
また、奇妙なナマモノが合体事故で生まれるかもしれないし……」
 シノメくんも、真顔で遠い目をした。
アレは、確かに合体事故以外のナニモノでもなかった。
「……それに、タクくんがまた死んじゃう」
 そして、何とも言えない表情で目を濁らせた。
嗚呼、そんな事もあったなと、ぼくも生ぬるい笑みを浮かべるしかない。
(アレを喰らっちゃったんだ、タクくん……)
 ぼくは、今更ながらにそっと黙祷した。
今頃はもう、復活しているとは思うけれど。
「タクくんで思い出したけど、あの兵と書いてツワモノって読む人達も休みか解らないよね。
やっぱり、あの人達無しで紅いタヌキを召喚するのは、ぼくは反対だな」
 代わりに、ぼくはぼそりと追い討ちをかけた。
ストッパー無しで召喚を強行するのは、何としても阻止したかった。
「……そうだね……未曾有の大惨事とか、困るよね……」
 シノメくんの顔が、一瞬で生気の無い粘土細工のようになった。
何処まで想像したのかは、親友(とも)の情けで聞かない事にした。
「……何より、紅いタヌキもだけど、あの人達の連絡先知らないや」
 そして、消え入るように呟いた。
割と本末転倒だった。
「ぼくも知らないなぁ……」
 ぼくもまた、曖昧に濁した。
紅いタヌキはともかく、あのツワモノ達に連絡先を訊くために消費されるガッツがヤバい。
 あの人達は、外見も然る事ながら、やっぱり雰囲気が常人のそれと違う。
ぶっちゃけ、怖い。
実際、怖い。
まんじゅうどころではない。
「にくったらしいアイツは……まぁ、いっか」
「うん、要らないよ。
っていうか、前はフツウに混ざってたけど、本来ならフツウにいちゃいけないヤツだからね?」
 そして、シノメくんの呟きに、ぼくはツッコミを入れた。
「あー、そうだっけ」
 その反応は、色々麻痺していると言わざるを得なかった。
いや、気持ちは解るけれど。
「そうだよ」
 流石に場所を考えて詳細は避けたものの、事実なので撤回はしない。
ナチュラルに紅いタヌキと一緒に馴染んではしゃいでいるけれど、現実にいたらダメなヤツなのだから。
 ただ、ああなった経過を思えば、にくましくもにくめないのは確かだ。
コショウは、全力でぶつけるけれど。
「んー……まぁでも、先輩達や姐さんやリア充さん達なら大丈夫かもしれないしさ。
オレ達だけでも何かやりたいよね」
 そして、シノメくんは考えるのを止めて妥協した。
「そうだね。
折角の三連休だし、それなら良いかもね」
 ぼくもまた、それについては異論は無かったので頷いた。
「掃除始めるよー」
「皆、教室から出てね」
 そうして会話に花を咲かせていると、掃除器具を持ったクラスメイトが声をあげた。
見れば、ぼく達以外にはほんの数人しか残っていなかった。
「あ、じゃあ、出よっか」
「うん」
 ぼく達は、残っていたクラスメイトと共に教室を出た。
それと同時に、若いみかんのように鮮やかな光が飛び込んでくる。
「うわ、眩し!」
 人より色素の薄い彼の髪が、金髪のようにキラキラとしていた。
「明日から天気良いと嬉しいよね」
「そうだねぇ」
 それに目を眇(すが)めて答えれば、シノメくんも頷いた。
それから、ぼく達は取り留めの無い話をしながら、廊下を歩く。
 少し前までは、こんな風に親友と並んで歩いて話すなんて思ってなかった。
むしろ、もう無いかもしれないとさえ思っていた。
 そう思えば、シノメくんは不思議な人だった。
出会いは偶然だったけれど、それからはあっという間に馴染んでいった。
そして、何時の間にかぽっかりと開いていた隣の隙間に入り込んでいた。
 気づいた時は、驚いた。
彼と――ヨウくんと似ていると思った事は、一度も無い。
少なくとも、外見や趣味なんかは、まるで違う。
 なのに、何故だろうと、今でも思う事がある。
そのくらいに、自然にこうなっていた。
「オレさぁ、楽しいんだよね。
今まで一人だったからさ、誰かといるのって凄い楽しいの。
人間って一人で生きてけないっていうけど、ホントだよね」
「――」
 ヨウくんとシノメくんは、まるで似ていない。
だけど――こんな風に、何処か遠くを見て柔らかく笑った顔や、口にした言葉が、ふと重なる。
(ああ、きみも……こんな事を言ってたね)
 鼻の奥が、不意に詰まる。
彼との想い出は、今ではほろ苦く仄かな痛みを伴いながらも、懐かしく優しい思い出として胸に残っている。
もう二度と、忘れる事は無いだろう。
 でも、だからこそ――時々、胸をすり抜けていく隙間風に泣きたくなる事もあった。
「オレ、せーたろーに逢えて良かったよ。
ヨウイチくんにも、逢いたかった」
 茶化すでもなく、ただただ優しい声だった。
ああ、だからぼくは……ぼく達は――親友になれたんだと思い至る。
「……そう、だね。
逢わせたかった」
 本当に、逢わせてあげたかった。
心の底から、そう思う。
「……今度、鏡ヶ浜に行こうよ」
 だから、ぼくは誘った。
「うん、良いね。
行こう」
 彼もまた、ただ頷いた。
「夕日ってさ、沁(し)みるね」
 そして、何処か大人びた笑顔を浮かべた。
彼は彼で、ただ平坦に生きてきたのではないだろうと思わせる笑みだった。
「……そうだね」
 だから、ぼくもまた、頷いた。
確かに、この時の夕日はやけに沁みたから。

***

「シノメ君、セイタロウ君、ちょっと待って!」
 不意に、玄関に到着したぼく達を、誰かが呼び止めた。
「ん? あれ、小栗(こくり)くんじゃん」
「やっと見つかった! 良かったよ、未だ帰ってなくて」
 振り返って見れば、確かにシノメくんの言う通りに隣のクラスの小栗くんだ。
走ってきたのか、少し息を切らせている。
 学校行事で顔見知りになってから度々話すようになった彼は、糸目勝ちで狐顔のイケメン枠だった。
まぁ、ぼくからすると胡散臭い感じにしか見えないのだけれど。
「如何したの?」
「ねぇ、連休に何か予定ある?」
 ぼくが問いかければ、小栗くんがそう問い返してくる。
「立てようかなってところで、具体的な予定は無いけど……ねぇ?」
「うん」
 シノメくんがぼくに同意を求めるように視線を向けてきたので、それに頷く。
それを聞くなり、その糸目と口許が孤(こ)を描いた。
「良かった! じゃあさ、明日にでも僕の家に来ない?」
「「え」」
 その提案に、ぼく達は一斉に声を上げていた。
「小栗くん、親がキビしくて家には誰もあげられないって言ってるのに?」
 そう、理由はシノメくんが言った通り。
男女問わず、お誘いはそれを理由に断っているから、余程の豪邸か名家かと噂された事もあったくらいだ。
「それなんだけど、両親が旅行に出かけたんだ。
で、帰ってくるのが連休明けでさ」
 ニコニコとしながら、小栗くんが説明する。
「だから、僕も人並みに休日を謳歌しようと思ってさ」
 その様子は、実に嬉しそうだ。
普段がどれだけキビしいのかは解らないが、余程嬉しいのだろうと察せた。
「それなら、他の女の子とか誘った方が良いんじゃないの?
モテるじゃない、小栗くん」
 そんな小栗くんに、シノメくんがさっくりと指摘する。
確かに、ハンサム系イケメン枠の彼が、もやし系フツメン枠であるぼく達を誘う理由が解らない。
「女の子はさ、何ていうか勘違いされると困るじゃない。
あと、他の男子はある事無い事言いそうだしさ」
「まぁ、それは確かにね」
 ツッコミたくなる衝動を抑えつつ、ぼくは相槌を返した。
理由としては、解らなくもない。
 ふと横を見れば、シノメくんが舌打ちでもしそうな苦い顔をしていた。
あえていうなら、リア充予備軍が!という感じだろうか。
「だけど、二人はそういうタイプじゃないでしょ?
普通に友達として接してくれるっていうかさ。
だから、誘ったんだ」
 そして、そこで真顔になる。
「あー、こうやって女の子をオトす訳ね」
 シノメくんが、死んだ目で頷いた。
「まぁ、気持ちは解るけど、今はそこじゃないよ」
 ぼくは、やんわりとツッコミを入れた。
「あ……うん、そうだったね。
じゃあ、如何しよっか?」
 若干濁ったままの目でシノメくんが問いかけてくる。
「予定は未だ無かったけど、ねぇ」
 ぼくもまた、言葉を濁した。
小栗くんとは割と話す方だとはいえ、友達というほどでもない。
 何より、シノメくんは解らないが、ぼくは彼が苦手だった。
どんな風に苦手かと訊かれると困るものの、違和感というか胡散臭いというか。
 まるで、心を読んでいるのかというくらいに勘の鋭いあの人ならば、この違和感も解けただろう。
だけど、常人のぼくにはそこまでの勘は無く……要は、気持ち悪いのだ。
「うーん、興味はあるけどね」
 シノメくんは、頭を掻きながら呟いた。
彼は、小栗くんを如何思っているのだろう?
「それなら、おいでよ。
折角なんだしさ」
 その狐顔が、またニコニコと誘うように笑う。
此処で、ウチにおいでよ――と言いたくならない辺り、やっぱりぼくは彼が苦手なんだなと思う。
「そういえば、小栗くんの家ってどの辺なの?」
「山の方なんだよね。
ちょっと中の方に入ったところ。
だから、一人だと寂しくてさぁ」
 シノメくんが問いかければ、小栗くんが笑顔のままで答えた。
山の方と聞いて、ぼくはちょっと気になる事を思い出した。
「うーん……まぁ、それは寂しいかもね。
じゃあ、明日一日くらいなら?」
 そんな事を思っていると、シノメくんが折れたように提案した。
そして、ぼくを見る。
「……そうだね、一日くらいなら」
 此処まで来て、気になる事があるからと話の腰を折るのも気が引けたし、一日くらいならとぼくも妥協した。
何より、シノメくんだけ行かせるのは心配だった。
「やった! じゃあ、そういう事で! 何時が良い?
明日、駅前のコンビニで待ち合わせようよ」
 小栗くんは、喜色満面といった風で手を打った。
「えっと、十時くらいで良いんじゃない?」
「そうだね」
 その笑顔にちょっと引き気味のシノメくんがぼくに同意を求めたので、頷く。
この様子だと、シノメくんもぼくと同じような感じなのかもしれない。
「じゃあ、十時でね! 楽しみにしてるよ!」
 そして、小栗くんは手を振りながら颯爽と何処かへと走り去った。
そういえば、鞄を持っていなかったので、取りに行ったのかもしれない。
「……何か、嵐のようだったねぇ」
 その後、シノメくんがぽつりと言った。
ぼくは、ただ苦笑だけでそれに答えた。
 そして、取り残されたぼく達は、すっかりと人気の無くなった下駄箱で外履きと内履きと履き替え、やっと外へと出た。
その頃には、既に夕日は落ちていて、空は熟れたみかんのような色になっていた。
「うわ、寒ッ!」
 ひんやりと冷えた風に、シノメくんが首を竦めた。
「すっかり秋だね」
 ぼくも頷きながら、首を竦める。
「ねぇ、せーたろーさ、何か乗り気じゃなかったよね」
 それから、ややあってシノメくんが口を開いた。
「……うん、まぁ」
 ぼくは、素直にそれに頷いた。
「山の方で、動物が襲われて死んでたって話を近所の人達から聞いてたから、ちょっと気になってさ」
 そして、小栗くんに対する感情はさて置き、気になっていた例の事を口にした。
彼に対しては、黙っていてはいけない気がしたから。
「え、そうなの?」
「ぼくも、よく解らないんだけどね。
小型の動物が、何かに食い千切られて死んでたって、猟師さんが言ってたそうだよ」
「えっと、熊、とか?」
 更に言えば、シノメくんが声を潜めた。
「……如何だろうね。
まぁ、そんなに件数が多い訳じゃないから、他所から熊か野犬が移動してきて襲ったんじゃないかって話だよ。
この辺、山は結構あるからね」
 不安げな様子の彼に、ぼくは知っている限りの情報を伝えた。
にわかの知識で悪いとは思ったけれど、やっぱり気になったからだ。
「そうなんだ……」
「まぁ、昔はともかく今は家も頑丈だし、小栗くんだって普通に行き来してるんだから、別の山だと思うよ。
ただ、行くなら気をつけた方が良いかなって」
「そっか。
うん、そうだね」
 不安げではあったものの、ぼくがフォローすればシノメくんも気を取り直して頷いた。
「……一日だけ、だしね」
 そして、ぼくは自分に言い聞かせるように呟く。
「まぁ、熊だったら狩れる人達がいるしね」
 シノメくんもまた、そんなぼくを察してか明るく言った。
「そうだよね」
 それはそれで如何かと思ったけれど、此処は空気を読んで頷くだけにした。
そして、ぼく達はすっかりと人気の無くなった校門を潜(くぐ)った。

***

次に鏡花の二人が出てきます。
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旬の花時計
プロフィール

KUROZ

Author:KUROZ
黒いまめっぽいナマモノ。
最近、珈琲がうめぇ。
禿げ散らかすのが気になるお年頃。
まめっぷ。

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