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連載小話・二話

週末は大荒れになるそうなので、ちょっと早めに投下してみます。
まったりもっさりと二話目です。
興味のある方のみ折り曲げからどうぞ。

 

※無断流用・転載厳禁です。

二話・はじまり・二


※引き続きセイタロウ視点です。

***

 ――学校を出たぼく達は、淡く色づいた街路樹から落ちた葉を踏みながら、他愛ない話をして帰路を歩いていた。
 やがて、大通りに出たぼく達は、マスドの近くで見慣れた人影を見つけた。
「あ! 神代先輩と宮川先輩じゃないっすか!」
 シノメくんが声をかければ、二人が此方を向く。
「よぉ、二人とも今帰りか?」
「わぁ! スゴい偶然だね!」
 それぞれが声をかけながら、此方に向かってきた。
「ええ、帰りに会うなんて初めてですね」
「……やだ、漢前……」
 それに答えるぼくの隣で、シノメくんが何処からかハンカチを取り出して噛み締めていた。
気持ちは解ったので、ぼくはそのままスルーした。
 神代さんは、元々上背も高く顔も漢前なので、ぼく達の着ている学ランとは違うブルジョア補正というか、とにかくブレザーが似合っててカッコいい。
 宮川さんは、普段は残念さが滲む肉食系女子だけど、こうして黙ってもらって足を見なければ普通に可愛い。
「ブレザーってスゴいね」
「筋肉ってスゴいね」
 ぼく達は、思い思いに頷いた。
「小栗くんはイケメンだと思ってたけど、こうして神代先輩を見るとそうでも無いなって思っちゃうね」
 そして、しみじみとシノメくんが呟いた。
「確かにね」
(彼、胡散臭い詐欺師みたいだし)
 同意しながら、ぼくは心の中でそうぶっちゃけた。
「何の話? つけ麺の話?」
 そうして、首を突っ込んできた宮川さんは、何時も通りの食いしん坊だった。
「いや、神代先輩ってモテるだろうなって」
「は? いや、んな事はねぇけど」
 そんな宮川さんをさておき、シノメくんが神代さんを伺えば、本人は素できょとんとした。
「如何なんすか? 宮川先輩」
 そこで、シノメくんは宮川さんに問いかけた。
目が若干笑っていなかった。
「あー、しーやクンはそういうのニブいからね。
何ていうかね、自分からフラグ折ってる感じ。
罪作りだよねぇ」
 すかさず、宮川さんが意地の悪い顔でつげ口をした。
「やだ、神代先輩ったらイケズ!」
「それで、何人泣かせてきたんですか?」
 シノメくんに続いて、ぼくも追い討ちをかけてみた。
もやし系草食男子として、しなければならない気がしたからだ。
「いや、ちょっと待て、人聞きの悪い事を言うな。
少なくとも、俺は誰かから告白された憶えは無いぞ、お前と違ってな」
 と、神代さんが反撃した。
ただ、告白された事が無いのはかなり意外だった。
「後輩に呼ばれたって、わざわざ俺に言いにきたヤツがいたぞ」
「へぁ!? 何それ!!」
 そして、そのまま視線が宮川さんへと向けられた。
確かに、宮川さんは黙って動かずにいれば可愛い――いや、本当に。
だから、あり得なくは無いのだ。
「ほう? それはそれは、興味がございますなぁ」
「誰にも言いませんから、白状して下さいよ」
 ぼく達は、ずずいと悪代官のような顔で問い詰めた。
何だかんだで、ぼく達もお年頃なのだ。
「え、え、ちょ、ちょっと待って!」
「良いから吐いちまえよ。
奢ったドーナッツ返してもらうぞ?」
「ひでぶッ!!!」
 テンパる宮川さんに、神代さんがイイ笑顔でとどめを刺した。
流石、飼主さんは急所をよく知っている。
「ち、違うの、アレは……そういう告白じゃなかったし。
っていうか、言っちゃって良いの?」
 と、宮川さんが照れているというより困惑した顔をした。
「YOU、言っちゃえば?」
 シノメくんが促した。
「そうですよ」
「吐いちまえよ」
 ぼくと神代さんも、更に促した。
「えっとね、うん、アレはね――実は、さゆきさんのファンだって子だったんだよ。
差し入れしたいんだけど、って……しーやクンだと怖いから、あたしに言ってきたの。
結構、運動部の後輩で多いんだよねぇ……。
だけど、ほら、あんまり言い触らしたりするとアレだし……」
 宮川さんの目が、濁りを通り越して腐っていた。
ぼく達は、それで嘘ではないと察した。
「……そうか、悪かった」
 神代さんが、視線をガッツリ逸らして素直に謝った。
「……嗚呼、姐御なら仕方ないっすね……」
 シノメくんもまた、生気の無い笑顔で頷いた。
「というか、さゆきさんのファンってそんなところにもいたんですね……」
 ぼくも何とも言えない気分で呟いた。
だけど、自分で言っておいて何だけど、あの女(ひと)なら理解出来てしまう。
 さゆきさんは、神代さん並の漢らしさと筋力を持っている女性だ。
そして、熊をも狩るツワモノから熊狩りのワザを受け継いだ女傑でもある。
それはまぁ、ちょっと少年心がときめくのも解らなくもない。
「……さゆきさん、カッコいいもんね」
 宮川さんが、何故か頬を赤らめて呟いた。
「うん、イケメンっすよね」
 シノメくんも、何故かうっとりとして頷いた。
すっかりと、彼等の中ではさゆきさんはイケメン枠のようだった。
「えーと……それはそうと、神代さん達は連休は如何するんですか?」
 その何とも言えない空気に耐え切れず、ぼくは話題をぬるりと変えた。
「いや、特に決まってないな」
「試験勉強とかは大丈夫なんすか?」
 神代さんの返答に、シノメくんが問い返す。
確かに、三年生の今頃は試験勉強の追い込み時期だろう。
「あーさは推薦が決まってるし、俺も学力的には大丈夫だって言われてるからな。
軽くはやるが、そのくらいだ」
「そうなんすか、流石っすね!」
「それなら、安心しました」
 神代さんが言うなら大丈夫だろうと、ぼく達も頷き合う。
「べんきょうってなにそれおいしいの?」
「ダメだね、アレは」
「うん、ダメだね」
 片や、宮川さんは試験が無くて本当に良かったと思う。
「お前達は?」
「明日は、ぼく達二人でクラスメイトの家に行くつもりなんです」
「まぁ、賑やかしみたいな感じっすけどね」
 話題を振ってきた神代さんに、ぼく達はさっきの事を話した。
「へぇ~、山の方に住んでるんだ。
それなら、ご両親がいないとちょっと寂しいかもね」
「そうなんすよ」
「でもまぁ、誘ってくれるだけ良いじゃないか。
俺達くらいになると、受験や何やでそういうのは少なくなるからな」
「そうですね。
ただ、その後は予定が無いので、何か皆でやりたいねってシノメくんと話してたんですよ」
 そして、会話の切れ目に、折角なのでぼくは切り出してみた
「そうそう! だから、偶然で会えて良かったっすよ」
「あ、それはイイね!」
 それにシノメくんが同意すれば、宮川さんが早速ノってきた。
「そうだな。
折角の連休だし、それも良いよな」
 神代さんも、それに頷く。
「何するか決めてるの?」
「いや、未だっす」
「ただ、海外組とにくったらしいアイツは色々大変なのでさて置いて、近くに住んでるぼく達だけでも何かと思って」
 宮川さんの問いに、ぼく達は揃って首を横に振りながら答えた。
「何だかんだで、俺達も何時の間にか幅広い知り合いが出来たもんだよな」
「そうっすよねぇ」
「ナマモノと人外と人外っぽい人までいますしね」
「うん、よく考えるとスゴいね!」
 そうして、神代さんのしみじみとした台詞に、ぼく達もまた異口同音で頷く。
確かに、普通なら有り得ない取り合わせだ。
 だけど、年齢や背景こそバラバラだけど、何だかんだでこんな風に話せる相手がたくさんいるのは素晴らしい事だと思っている。
やっぱり、一人は寂しい。
 そう思えば、小栗くんの誘いを受けておいて良かったのかもしれないと、ぼくは少し思い直した。
「うーん、でも、何しよっか? すぐには決められないよね」
「そうっすねぇ」
 そして、宮川さんとシノメくんが首を捻った。
「面子が面子だから、これっていうのが無いよね」
 ぼくもまた、すぐには案は出そうにない。
「じゃあ、それぞれ考えておく事にするか。
他の皆に連絡するのは、それからでも良いだろう」
「そうっすね」
「うん、そうしよ!」
「じゃあ、そういう感じで」
 神代さんもそれは同じようで、その意見にぼく達も素直に賛成した。
「こっちは特に予定も無いし、何かあったら連絡してくれ。
まぁ、逆にこっちからするかもしれないけどな」
「解りました」
「りょーかいっす!」
 そして、ぼく達はそれぞれ頷きながら、暫く他愛の無い会話に花を咲かせた。
大体、最終的には宮川さんいぢりになってしまうけれど、それもまた楽しかった。

 ――その後、ぼく達は駅前でそれぞれの道に別れた。
この面子の中では、ぼくが一番遠いため、一人電車通学だった。
(一人になると、寒く感じちゃうな……)
 皆を見送った後で、ぼくは寒さに首を竦めつつ、足早に駅へと入った。
駅の中は人気が無く、数人の駅員と売店の店員くらいしか人がいない。
だけど、それは珍しい事でも無かったので、ぼくは会釈をして定期を見せて改札を通った。
 やがて、辿り着いた三番線のホームはがらんとしていて、帰宅のピークがとうに過ぎている事を告げていた。
辺りには、スマホや携帯をいじる学生とスーツ姿がちらほらと見られるだけで、聞こえるのは風の音だけ。
静か、だった。
「えー、間も無く二番線に電車が参ります――」
 その沈黙を破ったのは、独特のアクセントのアナウンス。
二番線はぼくの反対側だけど、この電車が来れば、そのうち此方の電車も来るだろう。
 ふと時計を見れば、かつて都市伝説が囁かれた時間に近かった。
もう二度と走る事の無いあの電車を思い出すと、如何しても暖かさと共に痛みが沁みる。
だけど、それで良いのだと噛み締める。
(……ぼくは、大丈夫。
しあわせだよ、ヨウくん)
 やがて、聞こえてくるのは、電車が線路を走る音。
そして、程無くして電車が目の前を減速しながら、ぼくの前を通り過ぎていく。
「――!」
 その通り過ぎていく電車の中。
そこに、見慣れたいるはずのない顔を見たような気がした。
 何故だろう。
ぼくは、急に胸騒ぎを覚えた。

***

じわじわ来てる感じで。

尚、姐御ファンクラブとかあると思います。
私もあったら入りたい。
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プロフィール

KUROZ

Author:KUROZ
黒いまめっぽいナマモノ。
最近、珈琲がうめぇ。
禿げ散らかすのが気になるお年頃。
まめっぷ。

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