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連載小話・三話

ふもっふと三話目です。
書き貯め分が尽きそうで、これからが大変そうですが地道に頑張ります。
一応、キャラ視点ごとにそのキャラらしく書いてるつもりですが、割と混ざったりするので困りものです。
呼び方とか自分称とかって書いてるうちにすぐ忘れちゃうんですよね…。

拍手など、ありがとうございます。
興味のある方のみ折り曲げからどうぞ。

 

※無断流用・転載厳禁です。

三話・はじまり・三


※シノメ視点です。

***

 ――約束の時間より二十分ほど早く、オレは待ち合わせ場所のコンビニに到着していた。
買い物もしておこうかと、少し早く出てきたからだ。
 そうして、自動ドアをくぐって店内を物色していくと、見慣れたアイディンティティが視界に入った。
見れば、やっぱりせーたろーだ。
「せーたろー、早いね!」
「あ、シノメくん、おはよう」
「うん、おはよう」
 隣に並びながら、挨拶を交わす。
「せーたろーも買い物で早く来たの?」
 外の冷たさで赤くなった鼻をすすりながら、改めて聞いてみた。
「うん、そう。
ところで、シノメくんはお金大丈夫?」
 頷きながら、せーたろーが伺ってくる。
自他共に認めるくらいに貧乏だからね、オレ。
まぁ、一人暮らしだから仕方ないんだけど。
「バイト料入ったから、五百円まではイケるよ」
 微妙な金額ではあるけれど、これがオレの精一杯。
そして、真っ先に手が伸びたのがウマい棒だったのは、どうか察して欲しい。
「そうなんだ。
あ、お昼だけどね、お母さんがおにぎり作ってくれたから、一緒に食べよう」
 素直に答えれば、せーたろーが笑顔でそんな事を言ってくれた。
ああ、眩しい。
笑顔が輝いてる。
「オレ、おにぎり好きなんだよね! ありがと!」
 オレもまた、負けず劣らず満面の笑顔と感謝で迎えた。
「あはは、この前ウチに来た時、良い食べっぷりだったからねぇ」
 今からヨダレが出そうになっていれば、せーたろーが楽しげに笑う。
そういえば、そんな事もあった――だけど、憶えててくれた事がくすぐったくて嬉しかった。
「いや、あの時は美味しかったからね、ホントに。
今回も嬉しいよ。
お母さんによろしく言っておいて」
「うん、解った」
 せーたろーのお母さんは、せーたろーに似て……というか、せーたろーが似たんだろうけど、優しい雰囲気の女(ひと)だった。
その顔を思い出してほっこりしながら言えば、せーたろーもまた優しく頷いてくれた。
「それじゃあ、飲み物とお菓子だけで良いかな」
 ほっこりとしたまま、オレはホットドリンクのケースからカフェラテを取り出した。
「そうだね」
 せーたろーもまた、頷きながら同じケースから紅茶歌伝を手に取る。
それぞれをせーたろーが持ってきていたかごに入れながら、店内を物色していく。
「他に、何買おうか?」
「ポテスナックとか無難な感じで良いんじゃない?」
「それもそっか」
 そうして、適当に飲み物とお菓子を見繕う。
小栗くんの好みを聞いてなかったから、結局はオレ達の好みになっちゃったけど、それは仕方ないという事にした。
 やがて、会計を済ませる頃には、時間は丁度良い頃合になっていた。
そのままの足でコンビニを後にすれば、青空が広がっていた。
寒い事は寒いものの、その晴れ渡った薄い青色は綺麗だった。
「おー、良い天気! でも、寒いねぇ」
「そうだね。
天気良いほど、空気が澄むから寒いよね」
 首を竦めながら言えば、せーたろーも同じように首を竦めながらそんな事を口にした。
「へぇ、そうなんだ」
 それに相槌を打ちながら、袋から早速ホットのカフェラテと紅茶歌伝を取り出した。
その紅茶歌伝の方をせーたろーに渡して、カフェラテのキャップを捻る。
キャップを取れば、ふんわりとカフェラテの香りが広がった。
「……ねぇ、シノメくん」
 同じようにキャップを捻りながら、せーたろーが切り出した。
「うん?」
「シノメくんは、小栗くんを如何思う?」
 相槌を返せば、紅茶を一口飲んでから、せーたろーがぽつりと問いかけた。
「如何って……うーん、友達って程じゃないけど、それなりに仲が良いクラスメイト、かな」
 その表情が真顔だったから、オレは茶化さずに真面目に考えて、それから答えた。
「そっか」
 その言葉には、安堵が確かにあった。
「何で?」
「……うん。
ぼく、彼の事がちょっと苦手でさ」
 問い返せば、少し間を置いてからせーたろーが口にした。
「え、」
 声を上げた後で、それを思えば、乗り気でなかったはずだと納得出来た。
「あー……ごめん。
空気読めなかったね、オレ」
 そして、素直に謝った。
普通に話してたから大丈夫だと思っていたけど、苦手ならそれは気も進まないだろう。
 そう思っていると、せーたろーが慌てて首を横に振った。
「ううん、言わなかったぼくが悪かったんだし、それは良いんだよ。
良いんだけど、ちょっと気になってさ」
「山での事件?」
「……うん、それもあるけど――個人的な勘、かな」
 オレが問えば、頷きながらもせーたろーは眉間を少し狭めた。
「勘、」
 それを復唱しながら、オレはカフェラテを一口飲み込んだ。
「自分でも、おかしいとは思うんだけどね。
何だか、胸騒ぎがしたんだ」
 含みのある感じで、せーたろーが声を潜めた。
虫の知らせとか、そういうモノだろうか。
「……解った。
じゃあ、ホントに気をつけないとね」
 オレは、ただそれに真面目に頷いた。
ニブいからそんな予感は無かったけど、せーたろーが言うならその方が良いだろう。
 せーたろーとは、それほど長い付き合いじゃない。
あの彼(こ)と比べれば、十分の一くらいだろう。
だけど、それでもせーたろーが冗談や嘘でこんな事を言うキャラじゃないのは、よく解っていた。
そんな親友を疑うほど、オレはバカじゃない。
「……何も、訊かないね」
「訊かないよ、そういうのキャラじゃないもん」
 複雑な表情をするせーたろーに、笑いかけてやる。
「具体的に如何気をつけるかはさて置き、オレは信じてるからさ」
「……そっか、ありがと」
 ややあって、せーたろーがやっと笑顔を見せた。
オレもまた、ホッとした。
「あれ、小栗くんじゃない?」
 それから、せーたろーに言われて見れば、コンビニの向こうの信号機の下に見慣れた顔があった。
向こうも気づいたらしく、此方に手を振ってくる。
「あ、ホントだ。
じゃあ、行こっか」
 残り少なかったカフェラテを一気に飲んで、その空(から)をゴミ箱に捨てる。
そして、袋を持ち直して歩き出した。
「うん」
 せーたろーも同じように紅茶の空を捨ててから、オレの隣に並ぶ。
「……実を言うとね」
 そして、ぽつりと切り出した。
「何かこう――違和感がするんだ」
 何に、とは訊かなかった。
ただ、その笑っているようで笑っていない目が本当にそう思っているのだと告げていた。
「おかしいね」
 そして、消え入るように呟かれた一言は、そのまま空気に混ざって消えた。
 何故だろうか、その時――確かに、オレもまたある種の胸騒ぎを感じた。
だけど、それに対する答えは、今は未だ見えすらもしなかった。


***


※此処から愁夜視点です。

 ――それは、ある種の予感だったのだろう。
今ならば、そう思う。

 俺は、ふと読んでいた本から視線を上げて、机の横に置いていた携帯へと移した。
もうすぐ読み終わる本から気が逸(そ)れる事は、割と珍しい事だった。
 何気無く、ただシノメ達の顔が浮かんだだけだ。
だが、その途端に連絡しなければならないような気がした。
「‥‥‥」
 明日の予定は未定のままだったものの、俺は携帯を手に取った。
液晶を見れば、デジタル時計が十六時四分を刻んでいる。
窓の外はといえば、すっかりと空は朱色と紫色のグラデーションに染まっていた。
 俺は、別段勘の良い方ではない。
霊感の類もさっぱりだ。
ただ、運が良い方だといえば、良い方だろう。
 だからこれは、恐らく運が良かった――少なくとも、俺達にとっては。
そして、俺は登録したアドレスから、シノメの番号を呼び出した。
 プルルル、
 携帯の液晶をそのまま見ていると、呼び出しのコールが微(かす)かに本体から聞こえてくる。
そのまま、回数を重ねていく。
何時もなら出ている頃合を過ぎても尚、繋がらない。
 プルルル、
 既に、回数は二桁を過ぎた。
それでも、切る気になれずにそのまま液晶を睨んでいると――。
「!」
 液晶の表示が、通話に切り替わった。
 ガタンッ!
 同時に、鼓膜を劈(つんざ)くような音が鳴り響いた。
耳に当てていたら、放り投げかねないような凄まじい音だった。
『――!』
 それでも、本体を放しながら耳を澄ませば、ノイズ交じりの物々しい音の中に声のようなものが聞こえた。
いや、確かに聞き覚えがある声だ。
『――!』
『――、――』
『――!』
 言葉までは聞き取れないが、お世辞にもその様子は和やかとは思えない。
 ブッ、ツー、ツー……
 そして、そのまま通話は途切れた。
「ッ、」
 すぐさまリダイヤルすると、程無くして通話が繋がった。
「もしもし――!」
『ご迷惑をおかけします。
現在、電話に出る事が出来ません』
 だが、耳に届いたのは無情なアナウンスだった。
「くそッ」
 舌打ちしながら、今度はセイタロウの番号を呼び出す。
しかし、結果は同じだった。
「……二人に、一体何が……」
 『あの時』に感じていたそれに似た、漠然(ばくぜん)とした悪寒が背中を這い上がった。
同時に、悪い想像が脳裏を過(よ)ぎり、慌てて頭を振る。
 周囲の空気が、途端に重くなった。
だが、こうしてばかりもいられない――逸(はや)る気持ちを抑えながら、俺は思考を巡らせた。

***

長くなったので、一端切りました。
あさねは次から出てきますので、少々お待ち下さい。
そして、はじまり編は今回で終了、次から発生編に入ります。

尚、鏡花水月から考えると、愁夜は勘は並だけど運が強め、あさねは勘は良いけど運は並という感じがします。
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Author:KUROZ
黒いまめっぽいナマモノ。
最近、珈琲がうめぇ。
禿げ散らかすのが気になるお年頃。
まめっぷ。

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