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連載小話・四話

今回でついに書き置き分が尽きたので、次から如何しようかとまめってます。
とりあえず、そんなこんなで四話目です。
私の厨二脳が炸裂してきます。ヒャッハー。

拍手・投票など、何時もありがとうございます。
興味のある方のみ折り曲げからどうぞ。

 

※無断流用・転載厳禁です。

四話・発生・一


※愁夜視点です。

***

 ――考えあぐね続け、ふと時間を見れば、さっきから未だ数分しか経っていなかった。
だが、日暮れの早さと状況を思えば、悠長にしているヒマは無い。
(とはいっても、気ばかり逸(はや)る。
……でも、これじゃダメだな)
 無理矢理にでも気を抑え、状況をまとめるのが先だと言い聞かせる。
考え無しに行動をすれば、それこそ悲劇を生むという事を、厭(いや)というほど思い知っている。
(シノメとセイタロウは、今日はクラスメイトの家に行っていた。
此処までは、間違いないだろう)
 そして、切羽詰ったような話し声の距離からして、あの劈(つんざ)くような騒音は、恐らく携帯を落とした音だろう。
 だとすれば、何かが起きたとしたら、今し方だ。
あの様子からして、あまり良い想像は出来ないが――それでも、気づくのが早かっただけ僥倖(ぎょうこう)としておく。
(……まとめると、シノメとセイタロウはクラスメイトの家で何かに遭遇した。
そして、俺からの電話に出ようとしたものの、それを阻止された……って感じか?)
 大雑把な憶測ではあるが、そう外れてもいないだろう。
だが、俺はそのまま頭を抱えた。
 肝心のクラスメイトの家というのが、何処か解らない。
今から探し回ったのでは、確実に間に合わない。
「……本末転倒だ、しくじった」
 せめて、何処の山かくらいは聞いておけば良かった。
嫌な想像だけが、ぐるぐると脳裏を過(よ)ぎっていく。
「愁夜ー! あさねちゃん、来たわよー!」
 そうして、如何するべきかと迷っていると、階下から母さんの声がした。
あーさは、俺より勘が良い。
だから、あいつなりに何かを察したのかもしれない。
 そう思っていると、部屋のドアがノックされた。
「ああ、開いてる」
 促せば、ドアが開いてあーさが顔を覗かせた。
その表情は、笑っていなかった。
「……ねぇ、何かあった?」
 そして、開口一番にそう口にする。
無い、と言えたらどんなに良いだろうか。
「……残念ながら、あったらしい」
「!」
 嘆息と共にこぼせば、あーさが顔を強張らせた。
「とりあえず、入ってくれ。
俺も今し方気づいたばかりだ」
「う、うん」
 促せば、あーさは頷きながらも自分で勝手に持ち込んでいたクッションを引っ張り出し、座った。
 俺もまた、椅子からそのまま自分のクッションに座り直し、目の前に携帯を置く。
「でも、お前は何で解ったんだ?」
 そして、一先ずは問いかけた。
「お昼寝してたんだけどね。
何だか、凄い嫌な夢を見ちゃって……それで、かなぁ」
 本人もよく解っていないのか、首を傾げながらあーさが呟いた。
本当に勘で気づいたようだが、あーさなら仕方ない。
「……シノメとセイタロウに、何かあったらしい。
気づいたのは、今も言ったが、ついさっきだ」
 俺は、気を取り直して口を開いた。
 そして、今し方起きた出来事と、まとめた憶測をそのままあーさに話した。
先ほどより問題こそ増えたが、今では頭は冷えていた。
 これは、皮肉だが『あの時』の経験のお陰なんだろう。
だが、気ばかり急いて空回りするより余程マシだと――彼奴(あいつ)がいたら、きっとそう言ってくれたと思う。
「……ど、如何するの?」
 顔を強張らせたまま、黙って聞いていたあーさが震える声で口を開いた。
 もっと取り乱すかと思ったが、あーさもやはり『あの時』を経て、変わったのだろう。
「……それを、今考えてたんだ。
二人のクラスメイトの家が何処にあるのか、俺達には解らない。
だからといって、今からアテも無く探していたんじゃ、確実にアウトだ。
助かる命も、助からない」
「そ、そんな……」
 俺が非情な現実を告げれば、あーさは今度こそ落胆し、悲観を浮かべた。
我ながら、酷い話だと思う。
正しく、悪夢の再来に等しい。
 だが、だ。
俺の話は、これからが本題だった。
「まぁ、待てよ。
これは――あくまで、俺達二人だけだったら、の話だ。
未だ、現実にするには早い」
「え?」
 そして、仕切り直して切り出せば、あーさがきょとんとした顔で俺を見た。
俺は、そのまま目の前に置いていた携帯を手に取る。
「手を借りる。
俺達は、一人じゃないだろう?」
「え……あ!」
 言えば、あーさが目を瞠(みは)った。
そう、俺達だけで無理なら、手を借りれば良い。
それは、至極シンプルで明快な事だった。
 とはいえ、実を言えば、俺も今の今まで失念していた。
思い出した切っ掛けは、彼奴(あいつ)だった。
(何だかんだで、お前は何時も俺達を助けてくれるな――樹)
 苦味を伴う笑みを口許だけに浮かべ、何処か雰囲気が重なる人物の番号を呼び出した。
そして、幾許(いくばく)かの緊張と共に、決定ボタンを押す。
 プルルル、
 呼び出しのコールが、始まった。
俺もあーさも、どうかアナウンスが応答しないようにと、藁にも縋(すが)る気持ちで携帯の液晶に食い入る。
 プルルル、プッ、
 そして、六回目のコールの後、通話カウントが表示された。
「! もしもし、」
 弾かれるように携帯を耳にあて、呼びかける。
「龍樹さん、ですか?」
『……ああ、俺だ』
 その名を呼べば、ややあって返答が返った。
それと同時に、安堵と共に妙な緊張がどっと圧し掛かってくる。
 だが、本題はこれからだ。
俺達は未だ、スタート地点にすら立っていないのだから。
『如何か、したのか?』
「お忙しいところ、すみません。
あの、今少し……お時間は、大丈夫ですか?」
 喉がやけに乾いたが、それを無視して切り出す。
目の前のあーさもまた、口を一文字にしながら、此方を見つめていた。
『……ああ、構わない』
「! ありがとうございます、助かります。
急に、こんな事をお話しするのも気が引けるんですが、実は――」
 そして、俺は先ほどあーさにも聞かせた事の経緯(いきさつ)を、改めて話した。
『……そうか』
 話し終えた後、龍樹さんが相槌と共に、思索するように間を置いた。
俺もまた、黙って返答を待つ。
『確かに、状況からして急いだ方が良いだろう。
だが、情報が少ない』
 ややあって、龍樹さんが静かに切り出した。
「……仰る通りです」
 言葉こそ少なかったが、それは紛う事の無い事実だ。
現に、俺達もこうして動けずに此処にいる。
『……しかし、捜し方は一つでもない。
幸い、此方も今日からオフだ。
協力しよう』
「本当ですか!? ありがとうございます!」
 そうして告げられた言葉に、俺は思わず身を乗り出していた。
あーさが驚いた顔をして背を反(そ)らしていたが、今については察して欲しい。
 何せ、電話に出てくれただけでも幸運だと思っていた。
だというのに、助言どころか協力してくれるとなれば、棚からぼた餅どころではない。
『そろそろ、結さんも戻るはずだ。
あの人なら、何とでも出来る――話を通してみよう。
お前達は、そのまま待機してくれ』
 その上、結さんも動いてくれるとなれば、それこそ鬼に金棒、死神に鎌だ。
「そうして頂けると、とても助かります。
本当に、ありがとうございます!」
 俺は、携帯片手に頭を下げた。
事件は解決していないどころか、これでやっとスタート地点に立ったようなものだ。
しかし、俺の不安の重石(おもし)は大分軽くなっていた。
 捨てる神あれば拾う神ありというが、正しくこの事かと、俺は神に感謝した。
運が、良かった。
本当に、良かった。
『いや……では、すまないが一度切らせてもらう』
「お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。
ご連絡、お待ちしていますので」
『ああ。
宮川にもよろしく伝えておいてくれ』
「はい、失礼します」
 そして、俺は通話を切り、長い息を吐いた。
あーさにしては珍しく無言でいたにも関わらず、いる事までお見通しとは恐れ入る。
そんなところもまた、彼奴(あいつ)に似ていた。
「ど、如何だったの!? どんな感じだったの!? ねぇ!!」
 そんな余韻の最中、あーさが封を切ったかのように声を上げ、ずいと身を乗り出してきた。
「まぁ、落ち着けよ。
ありがたい事に、龍樹さんが協力してくれるそうだ。
今、結さんにも話を通してくれるそうだから、待っててくれって話だ」
「ホ、ホント!? それなら、良かったぁ!!」
 その鼻息の荒さに、今度は俺の方が背を反らして答えれば、あーさもまた顔色を一転させた。
「龍樹サンと結サンなら、きっと見つけてくれるよね!」
「ああ、勿論」
 そして、安堵に顔を綻ばせるあーさに、俺もまたしっかりと頷いた。
 あの人達とは、それほど多く接している訳ではない。
しかし、それでも――やると言ったからにはきっちりとこなす、そういう人達なのはよく知っている。
「……あとは、俺達が今やるべきは、二人が無事でいてくれるのを祈るくらいだ」
 そして、気を静めて呟く。
そう、二人の無事は未だ確認出来ていない。
足がかりが出来たのは幸運だったが、浮かれるには早い。
「そ、そうだね……うん、そうだよね」
 あーさもまた、今気づいたという顔をしながらも、自分に言い聞かせるように頷く。
「……何時でも出れるように、準備だけはしておこうぜ。
お前も一度戻ったら如何だ? 出かけるって話もしといた方が良いだろう」
「それもそうだね。
じゃあ、連絡あったら知らせてよ!」
 俺の提案に頷くが早いか、あーさは跳ねるように立ち上がった。
「ああ。
それはそうと、帰り際に階段から落ちるなよ」
 そうして、小走りで去っていく背中に声をかけつつ、俺もまた立ち上がった。
「解ってるよー!」
 その頃には、すっかり声は遠かったが――何時もの事だ。
とりあえず、階段から落ちた様子も無かったので、俺は俺で身支度に取り掛かった。
 携帯の時計を見れば、時刻は十六時二十一分。
発覚から未だそれほど経っていないはずなのに、随分と時間が経ってしまったような錯覚を覚えた。
(シノメ、セイタロウ……無事でいろよ)
 すっかりと薄暗くなった空を仰いで、俺は今一度祈る。
誰かが目の前からいなくなるのは、二度とごめんだ。
願いを籠めて、俺はその携帯の傷をなぞった。

***

ことわざは鬼に金棒、弁慶に薙刀が本来のものですが、設定を踏まえて厨二風に。
という事で、次はチート枠登場です。
もう勝ちフラグじゃないですかーやだーとか言ってはいけないところです。

尚、愁夜達は、樹=龍樹な事には未だ気づいてません。
気づくのは、鏡花水月の続編までお預けという形でお願いします……!

そういえば、樹と龍樹って同じ字が入ってるのですよね。
ぶっちゃけるとノリだけで決めたので、後になって偶然ってすごいなぁって思いました。
狙ったように見せかけて、実はガチで素でした。
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Author:KUROZ
黒いまめっぽいナマモノ。
最近、珈琲がうめぇ。
禿げ散らかすのが気になるお年頃。
まめっぷ。

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