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連載小話・十二話

昨日宣言した通り、今日は一先ず小話を投下させて頂きます。
そろそろと後半に入ってきましたが、未だ書き終わっていません。
二十話まではいかないと思っていましたが、この調子だと微妙な感じになってきました。
とはいえ、別段制約がある訳でも無いので、じっくり書いていこうと思います。
少しでも楽しんで頂けていれば、是幸いです。

では、興味のある方のみ、折り曲げからどうぞ。

 

※無断流用・転載厳禁です。

十ニ話・突入・六


※セイタロウ視点です。

***

 ――それから、ぼく達は暗く色の沈んだ屋内を探索していた。
長く伸びた廊下は、当初より大分伸びていて、入り組んでいなくて良かったとつくづく思う。
「……距離で言うなら、1キロくらいあった?」
 暫く歩き続け、やっとふすまを見つけたシノメくんがため息混じりにぼやいた。
「そうだね」
 その疲労感はよく解ったから、ぼくも苦笑と一緒に頷く。
「……とりあえず、開けてみる?」
「うん、進み続けるより良いだろうし、そうしよう。
ただ、何も無いか確認はしようね」
 シノメくんに小声で問われ、ぼくも声を潜めて同意しながら提案した。
「それしかないか、オッケー……」
 そして、肩を落としながら、シノメくんが頷いた。
気持ちは解るけれど、今ばかりは仕方ない。
 一文字に伸びた廊下は、シノメくんの言う通りに1キロくらい歩いてきたけれど、未だに先も終わりも見えない。
このまま進むのは、ちょっと気が進まなかった。
「……じゃあ、そっとね……」
 シノメくんが気を取り直し、ゆっくりとふすまに手をかけた。
 そして、緊張した面持ちで、静かに慎重に引いていく。
やがて、指一本入るくらいの隙間が開いた。
 ちらりと外から覗いても、暗く沈んでいて中の様子はよく見て取れない。
だけど、音がするとか変な臭いがするとか、そういうのは無いようだった。
 声を潜めたまま、ぼく達はお互いに頷き合う。
それから、音を立てないように、二人で隙間からそっと中を覗き込んだ。
 眼を凝らすと、ぼんやりと板張りの天井と床――それから、壁が見えた。
後は、家具らしき物が幾つかあるようだ。
そのくらいで、特に異常は無い。
「……もう少し開けるよ」
「う、うん」
 小声でシノメくんを促し、ぼくはゆっくりとふすまを引いた。
室内全体を見回せる程度にふすまを開いてみても、室内にも廊下にも異変は無い。
これなら、入っても大丈夫だろう。
「えっと……思い切って、入ってみる?」
「そうしよう」
 シノメくんの提案に頷きつつ、ぼく達は辺りを見回しながらそっと室内へと入った。
 一通り注意深く眺めて見たものの、普通の部屋という感じで、おかしなところは無い。
そこで一息吐いて、ふすまを閉じた。
「……それにしても、何か年季の感じる部屋じゃない?」
 辺りを見回しながら、シノメくんがぽつりと呟いた。
「そう、だね……」
 言われてみれば、確かに天井には電気も無く、壁はよく見ると土壁だ。
何処と無く、匂いも古い民家に行った時のようなそれに近い。
「初めのアイツの家とは別なのかなぁ?」
「少なくとも、この部屋は別みたいね」
 シノメくんの不安そうな呟きに、ぼくもまた頷く。
如何いう原理で如何いう意味を持つかはさて置き、アイツの家は少なくとも現代家屋のそれだった。
「……とりあえず、探索してみようか」
「そうだね、携帯探さないと」
 そして、ぼくはシノメくんに提案し、室内を探索する事にした。
暗い事は暗いものの、眼を凝らせば何とか見えるだろう。
 そして、此処にある家具は、タンス二棹(さお)と机一前(ぜん)。
中央に机があり、左右にタンスがあるという配置だった。
「何か、部屋もだけど……家具もスゴい年季入ってるね」
 家具を眺めながら、シノメくんが呟いた。
 確かに、家具はどれも木製の和家具で、よく見ると使い込んだ細かい傷が所々に入っている。
文化財になった古民家に置かれているような、年代を感じる代物だった。
「……この部屋丸ごと年代が違う感じ? ヘンなの」
「上がった時は、現代家屋だったのにね。
アイツ、人間じゃないみたいだから、この家も本当はこっちが本来の姿なのかもしれない」
 ぼやくように首を傾げるシノメくんに、ぼくはふと思い至って口にした。
 あのお笑い系ナマモノも見た目とは裏腹にかなりの力があるようだし、人間に化けるような人外ともなれば十分可能だろう。
だから、そう外れていない自信があった。
「そっか……そういう事もあるかもね。
オレ、正直言うと未だピンと来てないんだけど……」
 頭を掻くシノメくんの表情は、今も翳ったままだ。
ぼくは、前の事もあってか割り切れているけれど、彼はそうでもないのだろう。
 つい数日前まで、相手は上辺だけだとしても、シノメくんはクラスメイトだと思ってずっと接してきた。
ぼくのような経験がある訳でもないのだから、無理も無い事だった。
「あ、ゴメンね、暗くなっちゃった。
とりあえず、探索してみよ!」
 言葉を探すぼくの視線に気づいたのか、シノメくんが笑顔を取り繕って言った。
「……そうだね」
 結局、かける言葉も無く、ぼくは頷くに留めた。
「じゃあ――」
 そして、促そうとした瞬間。
 ガタンッ!
「「!!?」」
 まるで、部屋そのものが叩きつけられるように揺れ、ぼく達は身を竦めた。
でも、立っていられないほどの激しい揺れ――というより衝撃は、すぐに収まった。
「な、何!? 今の、地震……?」
 身をかがめた状態で、シノメくんが涙目になって辺りを見回している。
如何やら、怪我は無いようで安心した。
「……地震にしては、変だったね。
とりあえず、すぐ収まって良かったよ」
 同じようにかがめていた身体を起こしながら、ぼくは苦笑した。
「せ、せーたろー、大丈夫?」
「うん、大丈夫。
シノメくんも平気?」
「へ、平気、ビックリしたけどね」
 二人でやり取りを交わしながら、改めて立ち上がる。
そうして辺りを見回すと、少しばかり違和感があった。
「……何かおかしくない?」
「え? あ、家具がズレてるんじゃない?
ホラ、机が斜めになってる」
 ぼくの呟きに、シノメくんが声を上げた。
その指差す方を見れば、確かにちょっと家具がズレていた。
「結構な衝撃だったからね」
「うん、ビックリしちゃったよ……」
 ぼくの言葉に、シノメくんが肩を落としながらぼやいた。
それには内心同感で、アイツの嫌がらせかと思うと少し気分がざわついてくる。
 とはいえ、此処でイライラしてもアイツが愉しいだけ。
お互い一人でなくて良かったと思い直し、ぼくは気を落ち着かせた。
「……とりあえす、もう揺れないみたいだし、探索しようか?」
 そして、ぼくはシノメくんに改めて提案した。
「うん……あれ? ねぇ、何かこのタンスの後ろ、ヘンじゃない?」
 頷いた後で、シノメくんがふと首を傾げた。
指差している右のタンスをじっくり観察すると、確かにおかしい。
「……幅が違う?」
「っていうより、何か後ろにあるっぽい?」
 口々に呟きながら、ぼく達は右のタンスへと近づいた。
目を凝らしてよく見ると、ズレたタンスの背後の壁に同じような色合いの木製の戸が見えた。
「! せーたろー、コレ……」
 目を丸くするシノメくんに、ぼくは頷きを返した。
「アイツの企みか何かは知らないけど、此処にいても仕方ないからね。
家具を調べてから、この戸も調べてみようよ」
 そして、ぼくは提案した。
このまま闇雲に探すより、その方がマシに思えたからだ。
「……そう、だね。
廊下に出ても仕方ないし……」
 シノメくんもそう思ったらしく、表情を曇らせながら、ややあって同意した。
「うん、やろっか。
……先ず、手分けして家具調べる?」
「そうだね、そうしよう」
 そして、ぎこちなさを残しながらも問いかけてきたシノメくんに、ぼくは頷いた。
家具が少ないとはいえ、省ける時間は省きたい。
「じゃあ、左のタンスはお願い。
オレ、机調べるから」
「……解った」
 彼なりに割り切ろうとしているのだろう心境を思いつつ、ぼくは返事を返してタンスの前に立った。
(……それにしても、さっきの衝撃は何だったんだろう?)
 そうして、タンスの引き出しに手をかけつつ、ぼくはさっきの事を思い出していた。
脅かしにしては中途半端で、意図が見えずにモヤモヤとする。
けれど、それに対する解答が出てこない。
(考えても仕方ないか。
……とりあえず、調べよう)
 結果、ぼくは疑問をそのままに、一段目の引き出しをそっと引いた。
手ごたえは軽く、中にも何も入っていない。
ある意味、安堵はしたものの、少しばかり落胆した。
 そのまま、ぼくは二段目、三段目と調べていったものの――収穫は無し。
何かがあっても困るけれど、何も無いのも困るものだと、ぼくは嘆息した。
「せーたろー、何かあった?」
 そんなぼくを横目に、シノメくんが問いかけてきた。
「何も無かったよ、シノメくんは?」
「それがさ、葉っぱが数枚入ってたんだよね」
 肩を竦めながら問い返せば、シノメくんが腑に落ちない表情で数枚の枯葉を見せてくれた。
「……桜の葉みたいだね」
「……うん、何でかよく解んないけど」
 ぼくの呟きに、シノメくんは困ったように苦笑した。
 彼の手にあるそれは、形が変わっているでもなく、色がヘンにおかしいでもない。
本当に、色の褪せた桜の葉にしか見えなかった。
「……とりあえず、持って行く?」
「そうだね、一応……」
 シノメくんに言われ、ぼくは一先ず頷いた。
用途は思いつかなかったものの、念のためという事で。
「……あとは、右のタンスだね」
「うん……」
 そして、ぼく達は揃って頷き合い、右のタンスの前に立った。
 高さ的には、ぼく達と同じくらいだろうか。
引き出しも、左のタンスより多い。
「じゃあ、行くよ」
 そして、ぼくは一段目の引き出しに手をかけ、引いた。
手ごたえは、やはり軽い。
「何も無いね」
 シノメくんが覗き込んで、ため息をこぼした。
 それから、二段目から三段目、三段目から四段目と同じように空っぽが続いた。
こうもハズレが続くと、流石にぼく達のテンションも落ちてくる。
最後の五段目辺りになると、お互い無言で半ば諦めさえ混じっていた。
 カタッ
「!」
 そんなぼく達の失望に応えてか、小さな物音が中から響いた。
「な、何だろ?」
 シノメくんが眼を白黒させながら、ぼくを振り返る。
「解らないけど……とりあえず、そっと引くからね」
 ぼくは一言断ってから、ゆっくりと引き出しを引いた。
そして、中身が見えるほどに引いた引き出しの中にあったのは、一本の針金だった。
「……何で、針金?」
「だけど、枯葉よりは使えそうだよ」
「まぁねぇ」
 小首を傾げるシノメくんに指摘すると、苦笑が返ってくる。
「とりあえず、持っていこうよ」
「そうだね。
じゃあ、そろそろタンスを動かそっか?」
「そうしよう」
 そして、枯葉と針金を手に入れたぼく達は、いよいよタンスを動かす事にした。
中が入っていないから、もやし系男子のぼく達でも動かすのは簡単だった。
「これまた、年季の入った戸だね」
 シノメくんの言う通り、壁に埋め込まれた戸は重厚で年代を思わせる。
そして、取っ手の下に鍵穴のような物が見て取れた。
「鍵穴があるね」
「でも、鍵なんて無いよ?」
 ぼくが呟くと、シノメくんが眉を下げた。
確かに、此処には鍵なんて無かったし、ありそうな気配も無い。
 一縷(いちる)の望みをかけて、戸を押したり引いたりしたものの、ビクともしなかった。
「……困ったね」
「……あ、いや、ちょっと待って。
針金で開くか試してみるよ」
 嘆息したぼくの横で、ふとシノメくんが思いついたように声を上げた。
「こう見えても、手先は器用なんだ。
やれるだけ、やってみる」
「……解った、お願いするよ」
 確かに、シノメくんは手先が器用だったと思い出し、ぼくは頷いて場所を譲った。
 シノメくんは、戸に耳を付けるような体勢になり、慎重な手つきで針金を鍵穴に差し込んだ。
それから、暫くの間――微かな金属音だけが部屋に響く。
「!」
 暫くして、シノメくんが肩を震わせた。
同時に、カチリと小気味良い音が鍵穴から響いた。
「開いたよ! せーたろー」
「ありがとう、助かったよ」
 笑顔を見せるシノメくんに、ぼくも破顔した。
本当なら、もっと喜びたいところだけれど――残念ながら、未だ油断するには早い。
「とはいえ、これからだからね。
気をつけて行こう」
 そうして言えば、シノメくんも思い至ったように苦笑した。
「……そうだったね、頑張ろ」
「うん」
 そして、お互い頷き合い、ぼく達は気を取り直して戸に向き直った。

***

此方は此方で、地味に頑張っています。
シノメは不器用そうだけど器用で、セイタロウは器用そうで不器用です。
そろそろと後半ですが、未だ続きます。
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KUROZ

Author:KUROZ
黒いまめっぽいナマモノ。
最近、珈琲がうめぇ。
禿げ散らかすのが気になるお年頃。
まめっぷ。

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