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連載小話・十四話

すっかり雪も融け、春らしくなりましたね。
とはいえ、未だ寒い日が続きますので、体調には十分お気をつけ下さい。

ぼちぼちと新作の製作を進めつつ、何だかんだでエイプリルフールの季節が近づいて参りました。
毎年やろうやろうと思っていてもなかなか出来ずにおりますが、今年こそは何か作るべきかと考えています。
あまり細かいところまでは考えていませんが、オールキャラのゆるいパロディゲーム的な構想はあったりします。
とはいえ、需要が有るか無いか謎なので、拍手やコメントなどで反応を頂けると是幸いです。

最後に、何時も拍手や投票などありがとうございます。
何だかんだで、気がつけば投票の方も結構な数になりました。
此処までの数になるとは思ってもいなかったので、とても嬉しいです。
自分で言うのもナンですが、私は結構クセのあるゲームばかり作ってると思っています。
にも拘らず、毎度楽しみにして下さっている愛好家の方々、改めてありがとうございます。
禿げ散らかしながら、今後も精進したい次第でおります。

そんなこんなで、前置きが長くなりましたが何時もの小話の続きです。
興味のある方のみ、折り曲げからどうぞ。

 

※無断流用・転載厳禁です。

十四話・突入・八


※シノメ視点です。

***

 ――何と無く、夢の中でこれは夢なんだろうと解る時がある。
それが、今だった。
 オレは、山の中にいた。
いや、山の中というのは、ちょっと違うかもしれない。
何せ、辺り一面に桜が咲いていたんだから。
 何処を見ても、満開の桜の木ばかり。
ひらひらと白い花びらが舞い散る光景は、幻を見ているかのようだ。
夢の中で幻を見るというのも不思議な話だけど、そう思うくらいに儚げな光景だった。
「……ぼうや、聞こえるかね?」
 そうして、ぼんやりと桜を眺めているオレを、誰かが呼んだ。
振り返ってみたものの、誰もいない。
 だけど、近くからした。
さっきの声と同じなんだろうか?
「聞こえてるんだね?」
 首を傾げるオレに、人懐こく聞こえるおばあちゃんの声がまた響いた。
「……聞こえる、っす」
 対して、夢の中だったものの、思っていた通りの答えが言えた。
「……じゃあ、聞いておくれ」
 そして、声はしっかりとした口調で切り出した。
さっきのような鳥肌が立つような嫌悪感も無く、その声は真剣に聞こえる。
 まぁ、オレはお祖母ちゃん子だったから、疑いたくない気持ちもあるのかもしれない。
とはいえ、今はどんなヒントでも欲しいのも確かだ。
オレは、そのまま話を聞く事にした。
「あたしはね、ずっと此処で待ってるの。
旦那が仕事に出かけたっきり、戻らないから。
……やっぱりあの事がいけなかったのね」
 ぽつりぽつりと、声が語りかけてくる。
そこに、引っかかるところがあった。
「……あの、事って……?」
 思った疑問が、そのまま口を突いて出た。
「守銭奴(しゅせんど)のあの男が、貂(てん)を殺したんだよ。
貂(てん)っていうのはね、毛皮が綺麗だから高く売れるんだ。
だけどね……貂(てん)は、恐ろしい獣なのよ」
 それに答えるおばあちゃんの声には、明らかに怯えが混じっていた。
「……そ、それで?」
 貂(てん)という動物が如何いうものか解らないものの、オレは気になって先を促した。
「山火事よ。
山火事が起きてしまったのよ。
この山は、桜の綺麗な美しい山だったのに……殆んどが、焼けてしまったわ。
あの男の所為で、貂(てん)の怒りに触れてしまったのよ。
貂(てん)を殺せば、火難(かなん)に遭うというのに。
だから、山は焼け――あんなモノが、生まれてしまった」
 後半になるにつれ、その声はぼそぼそと消え入るように小さくなっていく。
 同時に、周囲の光景が変わった。
あれだけ咲き誇っていた桜の花びらが、音も無く火の粉を撒(ま)いて散り出した。
そして、そのまま灰になっていく。
「――」
 熱さは感じなかったものの、オレはただ言葉を失った。
見る間に、あんなにも綺麗だった光景は焼け跡へと変わってしまっていた。
「だから……旦那も戻らない。
アレの所為で……そして、あたしも……」
 言い様も無く、落胆した声だった。
だけど、慰めるべき言葉が見つからない。
そもそも、如何やって慰めて良いのかも解らない。
 ただ、気づいたのは――あの年季の入った部屋やこの光景と、おばあちゃんが関係があるのかもしれない事くらいだった。
「……あの、アレって?」
 結局、何とはなしに心苦しい気はしたものの、オレは問いを投げかけた。
「……アレはね、流れた貂(てん)の血で山を焼く事で生まれた物の怪さ」
 絞り出すように、声が告げた。
「アレから、逃げたいんだろう?」
「――、うん」
 問われて、オレはややあって正直に頷いた。
 その時、ポケットに入っていた枯葉もまた、ひらりと落ちた。
夢の中ではあったものの、それは思い返すと不思議な事だった。
「……あぁ、懐かしい薄墨桜の葉だね……。
昔は、よくこうして押し花を作ったものだよ。
その葉と、これを交換しないかね?」
「え? あ!」
 そうして、何処からとも無く出てきたのは、オレ達が探していた携帯だった。
しかも、オレのだけでなく、せーたろーのまで。
「オレ達の携帯!!」
 思わず、その携帯を手に取れば――夢の中だというのに、確かな金属の冷たさと質感が感じられた。
幸いにも、壊れている様子も無い。
「アレが此処に放り投げていったんだよ。
変わった代物だと思っていたが、あんた達の持ち物だったんだね。
じゃあ、それは返してあげるから、その葉をくれないか?」
「それは、良いっすけど……何で?」
 振り返ったところで、そこに姿は無い。
だけど、疑う気持ちはもう無かった。
「……もう、解っているんだよ。
あたしは、旦那を待ち続けて、何時の間にかこうなっていた残り滓(かす)だ。
そうしてずっと独りでいたところに、あんたがやってきた。
……まぁ、慰めになったお礼だよ」
「……おばあちゃん、」
 話を聞いた限りでは、このおばあちゃんもその旦那さんも被害者だ。
あの気持ち悪かった声も、もしかしたら被害者だったのかもしれない。
そう思うと、如何にかしてあげたいという気持ちが勝る。
 だけど、何も出来ない。
オレには、何の力も無い。
それが、凄く悔しかった。
「……ごめんね、何も出来なくて……」
「男の子が、そんな顔をしちゃいけないよ。
……もう起きるんだ。
アレが戻ってきたら、危なくなる」
「……戻ってきたらって?」
「今、アレは此処にいないんだ。
だから、あたしも出てこれた。
今なら、あんた達は出られるかもしれないよ。
急ぐんだ」
 その声が言い切ると同時に、目の前が歪み、ぼんやりと靄がかっていく。
夢から目覚め始めているようだった。
「あんた達は、運が良い。
きっと、出られるさ。
さぁ、起きるんだ」
 優しげな声で、促される。
オレは、如何にも出来ない事に打ちのめされた。
「……ッ、ごめんなさい……」
 浮上していく意識の中、オレに出来たのは……謝る事だけだった。
「良いんだよ、そんな事は。
……ただ、気をつけるんだよ。
アレが求めているのは――」
 そして、おばあちゃんの言葉の最後は、聞き取れなかった。
「あ……」
 その前に、オレの意識が覚醒したからだ。
気にはなったものの、こればかりは仕方ない。
 そう思うと同時に、手に何かが当たった感触に驚き、それを見て更に驚いた。
「! これ、携帯……」
 そう、手元にあったのは、オレ達の携帯だった。
代わりに、ポケットを探れば、数枚あった枯葉が無くなっていた。
 という事は、あの夢は夢じゃなかったという事になる。
そう思い至ると、更に胸が痛くなった。
(おばあちゃん……、)
 目の前が霞んだものの、だからこそ、此処でヘコんでいる訳にもいかない。
オレは、グッと唇を噛み締めて、身体に力を入れた。
「……せーたろーを探して、此処から出ないと……」
 そして、オレは携帯を手に取り、立ち上がった。
「あ、そうだ。
携帯を確認しよう」
 それから、ふと気づいて携帯を起動させる。
不安はあったものの、ちゃんと起動した。
(良かった、動いて……よし、履歴を見てみよう)
 逸(はや)る気持ちを抑えて、オレは着信履歴を見た。
「! ……やっぱり」
 すると、そこには見慣れた名前があった。
 最後の着信の時間は、十六時過ぎ頃。
今の時間は、0時0分になってしまっているから解らないものの、その事にオレは安堵しつつ歓喜した。
(これなら、希望はあるよね。
よし、せーたろーを捜そう)
 オレは、改めて決意を固めた。
未だ、諦めるのは早い。
 それから、周囲をじっくりと見回していくと、何と無く違和感がした。
「……あれ? 何か景色が歪んでる?」
 眼を凝らして見ると、確かに薄っすらと歪んでいる。
言ってみるなら、騙し絵のように上から貼っているかのような感じだろうか。
(……入れたりするかも?)
 さっきはともかく、今ならやれる。
オレは、ゆっくりと近づき、歪みに手をそっと突っ込んでみた。
(! 入った……けど、感触が無いや)
 とはいえ、横から見ても手は突き出ていない。
つまり、奥に何かあるという事だ。
(……何か恐怖が麻痺してる感じだけど、それはそれだよね、うん)
 そして、オレは一度手を引っ込めてから、気合を入れなおす。
「よし、行こう!」
 考える事は苦手だし、今は行動あるのみ――そう割り切って、オレは眼を瞑って歪みに飛び込んだ。
 同時に、また頭が揺さぶられるような気持ち悪さが襲ってくる。
それにじっと耐えていると、やがて奇妙な浮遊感を覚えた。
「あれ?」
 その違和感に目蓋を開いて見れば、見覚えのある景色が広がっていた。
「此処、初めの――」
 そう口に出した瞬間、オレは重力に従って落下した。
此処で、オレは如何やら浮いていたらしいと気づくも、後の祭り。
 そして、宮川先輩のような運動神経を誇るでもないオレが、即座に受身を取れる訳も無かった。
 ビタンッ
「!! いッてぇ~~……」
 結果、尻から落ちて、のたうつ事になった。
さっきの悔し涙が、今は痛み涙になるほどに痛かった。
額は痛いし、尻も痛いしで、もう踏んだり蹴ったりだ。
 だけど、此処でべそをかいている場合じゃない。
「……うぅ、せーたろーは……やっぱいないか」
 尻をさすりつつ立ち上がって見ても、ヒトの気配はしない。
見覚えがあるとはいえ、さっき通ってきた廊下と同じと言い切れもしない。
「……とにかく、進もう。
携帯は見つかったんだし、せーたろーを探さないと」
 そして、オレは自分に言い聞かせながら、痛みを堪えつつ歩き出した。
あのおばあちゃん達のためにも、何が何でも脱出しなければ。
(……しかし、そうなるとアイツの正体は、おばあちゃんの言うアレ――貂(てん)って事?)
 だけど、その姿が解らないオレには、いまいちピンと来ない。
 解る事があったとすれば、アイツはホントに人間ではなくて、実は良いヤツでも無さそうだという事くらいだ。
それはそれで、やっぱり複雑になる。
「……行こう」
 このまま考えていたら、また憂鬱になってしまいそうで、オレは頭を振ってから足を踏み出した。

***

シノメは豆腐メンタルではありますが、頑張る時には頑張れるナイスボーイだと思っています。
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KUROZ

Author:KUROZ
黒いまめっぽいナマモノ。
最近、珈琲がうめぇ。
禿げ散らかすのが気になるお年頃。
まめっぷ。

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