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連載小話・十五話

四月のアレの件、皆さまご協力ありがとうございました!
拍手、コメントなど誠に感謝であります。
今此処では結果を書かず、四月某日にて告知したいと思います。
作った場合は、某日までに完成出来るように頑張ります。
作らない場合でも、何かやるか描くかするつもりでおります。

そういった事で、小話の方に移りたいと思います。
長々と書いてきましたが、何とかもう数話で終わりそうです。
エピローグを入れれば、丁度二十話くらいになるかなという感じでしょうか。
未だ書き終わっていないので、最後まで頑張ります。
今しばらくお付き合い下さいませ。

では、興味のある方のみ、折り曲げからどうぞ。

 

※無断流用・転載厳禁です。

十五話・突入・九


※愁夜視点です。

***

 ――歪みを潜って抜けた先にあったのは、色が褪せて沈んだ冷ややかな空間だった。
怪異に遭遇した経験の無い俺でさえ解る、えもいわれぬ異常さが具現化してそこに広がっていた。
「……こ、これが、異空間の中?」
 俺の横で、あーさが眼を白黒させながら呟いた。
「……ああ、無事に入れたみたいだな。
こんなところは、現実には在り得ない」
 落ち着かない様子のあーさに答えながら、俺は改めて周囲を確認した。
 色が褪せて暗く沈んではいるが、長く伸びた板張りの床を見るに、此処は通路か廊下のようだ。
だが、正面を向いても後ろを振り返っても、奥が見えない。
「……それにしても、長いな」
「うん、こうも長いと走りたくなっちゃうね」
 俺の呟きに、あーさが真顔で頷いた。
「ああ、その発想はおかしい」
「えッ」
 その言葉に否定を突きつけると、あーさのアホ毛が驚きと共にアンテナのように立った。
全く以って、器用なアイディンティティだ。
「しーやクン、筋肉あるのに何で解ってくれないの!?」
「筋肉があるからって解るか、こんチクショウ!
そんな事より、今はシノメとセイタロウを見つけるのが先だ」
 本心から心外だと言わんばかりの顔をするあーさに、俺の方が心外だと言外に含ませながら、本題を改める。
「あ、そうだったね!」
 そこで、手を打つのがあーさという宮川科である。
「忘れてんじゃねぇよ、頭ツブすぞ」
「スイマセン ソレダケハ ゴカンベン クダセェ」
 真顔で言えば、あーさはガクガクと震えながら懺悔した。
我ながら、よく躾けたものだと遠い目になる。
 実のところ、あーさとはいえ女子にアイアンクローするのは如何かと自分でも思わないでもない。
だが、やんわりと指摘してもすぐ忘れるのだから仕方ない。
嗚呼、仕方ないんだ。
「……しーやクン、何かヘコんでる?」
「――」
 あーさに言われ、思わず壁にのの字を書きそうになっていた事に気づく。
何という事だ。
「……いや、何でもねぇよ。
さぁ、二人を捜しに行くぞ」
「う、うん……」
 気を取り直して言えば、あーさも空気を読んでか頷いた。
実際、此処でボケツッコミをしてヘコんでいる場合ではない。
 とはいえど、問題が一つあった。
「……しかし、どっちに行けばいいか解らないな。
正面か背後しかないとはいえ、一歩間違えれば俺達の方が迷っちまう」
 たかが二択、されど二択――俺は、思考の末にあーさに振った。
「よし、お前の勘に賭けよう。
当たってたら、後でマスド奢ってやるよ」
「マジで!?」
 その時、あーさの眼の色が変わった。
お前の中では二人よりマスドなのか……と思わないでも無かったが、やる気を出させるというのは大事だ。
「ああ、マジでだ。
だから、気張って勘を働かせてくれ」
「解ったよ!」
 そして、あーさは鼻息も荒々しく頷いた。
だが、何だかんだで、あーさの勘が良いのは確かだ。
闇雲に進むよりは、マシだろう……多分。
「うーん、正面で良いんじゃないかな?
そんな気がするよ」
 そして、あーさは正面と背後をそれぞれ見やった後で口を開いた。
「よし、正面だな。
とにかく、急ぐぞ」
「うん」
 それに頷き、俺達は足早に歩き出した。
「あ、走っても良いよ?」
 そこで、あーさがすかさず提案してきた。
「断る、俺がバテる」
 即座に、俺は却下した。
「貧弱だなぁ、しーやクンはー」
 その返答に、ぶちぶちとあーさがぼやく。
 仮に、常人のスタミナが3、俺のスタミナを5としよう。
そして、あーさのスタミナを軽く見積もって10としよう。
これだけでも、歴然の差だ。
 走る事自体は良しとしても、あーさに限ってスタミナ計算が出来る訳がない。
ぶっちゃければ、俺がバテる予感しかしないのだ。
脳筋は、コレだから困る。
「……あーさよ」
 俺は、そのまま足の速度をゆるめずに切り出した。
「ほえ? 何?」
 あーさが、きょとんとして答えた。
「無事に帰れたら、後でツブさせてくれ」
 頭的な意味で。
「えッ」
 絶句して立ち止まるあーさを他所に、俺はそのまま歩み続ける。
「ちょ、ちょっと待ってよぉ! っていうか、何でツブすの!?」
 離れた声は、しかし、すぐに追いついてくる。
「気にすんな」
「気にするよ!?」
 そして、俺達はあれやこれやと言い合いながらも足早に廊下を突き進んでいった。
(……それにしても、長いな)
 結構な距離を歩いたような気はするが、景色に変化は見られない。
 そこで、俺はふと思い至って、ポケットから携帯を取り出した。
「携帯は……圏外だな」
 呟きながらも、念のためアドレスを呼び出してみた。
しかし、やはり繋がらない。
「……あたしの方もダメみたい。
それに、何か時計も動いてない感じ」
 俺の様子を見て、同じく携帯を手にしていたあーさも眉を下げた。
確かに、言われて見ると時計が十八時六分のまま、全く動いていない。
「これじゃあ、タイムリミットが解らないな。
今で、三分前後ってとこだと思うんだが……」
 チーフさんに、十分くらいしか持たないとは言われているのに、これでは困る。
思わず唸っていれば、横であーさが声を上げた。
「あ、じゃあ、タイマー使おうよ。
六分くらいでセットすれば良いんじゃない?」
「そうか! それがあった」
 あーさに言われ、俺は膝を打つ思いで携帯からタイマーを呼び出した。
そうして、セットしてみれば――数字が動き出した。
「やった、動いたよ!」
 横のあーさからも声が上がる。
無事に動いてくれて良かった。
「ああ、でかした。
それにしても、よく気づいたな」
「まぁね! 陸上でよく使うからね!」
 褒められたのが嬉しいのか、あーさは得意げに胸を張った。
言われてみれば、タイムを競う陸上ではタイマーは珍しいものではないだろう。
「じゃあ、急がないとね!
やっぱり、走る?」
 そうして振られて、俺は少し悩む。
急いだ方が良いのは確かだが、体力も温存しておきたいのも確か。
「……休み休みで頼む。
で、もう少し進んだら、また携帯を試していこう」
 結果、俺は妥協する事にした。
「オッケー!」
 対するあーさは、何故か嬉しそうだ。
いや、しょげてられるよりは良いが、走れるからといって喜んで良い場所ではないはずだ。
 この辺のクソ度胸は、あの経験を経た所為だろうか。
だとするなら、俺が矯正してやるべきなのだろうか。
「さぁ、走るよ! しーやクン、頑張ってよね!」
 そんな俺とは裏腹に、あーさの鼻息は荒い。
(やはり、脳筋か……)
 俺は、少し目頭を押さえた。
如何してこうなった。
「さ、しーやクン、行くよ! 二人を助けないとね!」
「おう……」
 そして、俺はあーさに引っ張られるように長い廊下を走り出した。
この長い廊下の終わりに……いや、俺のスタミナが切れる前に、二人が見つかる事を願いながら――。

***

愁夜頑張れ超頑張れ。
彼のスタミナは決して低くありませんが、宮川科霊長目さんが相手なのでお察し下さい。
あと、愁夜自身も相当なクソ度胸ですが、棚上げなうです。

尚、書いてて誰が一番書き易いかといえば、愁夜かシノメです。
思考が割とニュートラルな感じだからでしょうか。
逆に、書き難いのは結やあーさのようなクセのあるタイプですね。
書けば書くほど、私の語彙の無さがボロボロ出るのでいやんです。
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Author:KUROZ
黒いまめっぽいナマモノ。
最近、珈琲がうめぇ。
禿げ散らかすのが気になるお年頃。
まめっぷ。

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