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連載小話・十九話

モノクロエイプリルの二章は、現在デバッグ中です。
ちょろちょろと追加もしているので、最終調整もかねて明日の日曜日中にふりーむさんにて更新手続きを取る予定でおります。
その際は、また此方でお知らせしますので、よろしくどうぞ。

そんな感じで、今日は一先ず小話をアップさせて頂きます。
長く続けてきましたが、此方はあと一話で何とか予定通り完結出来そうです。
拙い文章ながら、お付き合い下さった皆さま、ありがとうございました!
拍手なども感謝感激であります!

では、興味のある方のみ、折り曲げからどうぞ。

 

※無断流用・転載厳禁です。

十九話・追い手に於いて・四


※愁夜視点です。

***

「しーやクン、あれ!」
 長い廊下を走る中、あーさが声を上げた。
言われて指差す方を見ると、微かな足音と共に薄っすらと人影が見えてくる。
「! シノメ、セイタロウ!」
 その姿が鮮明に見えるようになると同時に、声が出た。
「せ、先輩達!!」
「良かった、合流出来て」
 向こうも俺達に気づいたようで、破顔して速度を上げて走ってくる。
元気そうな二人の姿を見る限り、目立った怪我も無さそうで、内心安堵した。
 だが、そこで安心するべきではなかった。
「良かったぁ! ンもー、心配したんだからぁ!!」
 その時、あーさが全力で駆け出し、両手を広げて二人の方へと向かっていった。
一見すると、それは実に感動的な一コマだろう。
 しかし、俺にはその先がふと垣間見えていた。
「待て、あーさ!」
 慌てて、俺は声を上げた。
が、少しばかり遅かった。
 ドゴォッ!
「「ひでぶッ!!」」
「うわ……」
 鈍い打撃音と共に、二人の某世紀末のような断末魔と、俺の嘆息が混ざり合って消えた。
「……あれ?」
「‥‥‥」
 後には、床に吹っ飛んで倒れ伏した二人の屍(?)と、きょとんとするあーさ、ドン引きする俺が残された。
 ……無理も無い話だ。
あーさの脚力で助走をつけて、タックルをかまされれば――俺だってああなる。
「バカヤロウ! あれ?じゃねぇよ!!
お前のA・S・E(あーさ・すぺさる・えるぼー)を回避出来るのは、龍樹さんと結さんとイイオトコくらいなんだぞ!?
俺でも回避出来ないんだから、自重しろ!!」
「ぎゃふん! そ、そうなの?」
 俺がデコピンをかまして言えば、あーさが額を押さえつつ、眼を白黒させた。
これだから、脳筋は困る。
「そうだよ! シノメ、セイタロウ……生きてるか?」
 いまいち解っていない風なあーさを放って、俺は二人の元へ急いだ。
「……オ、オウ……」
「……何とか、生きてはいます……」
 首をさすりながら、二人はよろよろと起き上がった。
「悪いな、加減を知らないヤツで……」
「い、いえ、それより、助かったっすよ」
「わざわざこんなところまで来てくれて、ありがとうございます」
 保護者代理で謝れば、二人は改めて嬉しそうに顔をゆるませた。
「気にするなよ。
二人とも、無事で良かった」
 そんな様子を見て、俺も漸く胸を撫で下ろした。
本当に、最悪の事態にならずに済んで良かったと腹の底から思う。
「シノメクンもセイタロウクンも、無事で良かったよ!
怪我は、してない?」
「あー……今のタックル以上の衝撃は受けてないっす」
「ええ、女性でもあんなに衝撃があるものなんですね……」
 そこへあーさも駆け寄ってくるも、二人はぬるい笑顔でぼやく。
流石に、それについては俺もフォロー出来なかった。
「うッ! ご、ごめんね……」
「あ、でも、来てくれて嬉しいのはホントっすよ!」
 思わずあーさが肩を落とすも、シノメが取り成して笑顔を見せた。
「ええ、本当に助かりました。
でも、如何やって此処へ?」
 そうして、セイタロウもまた笑顔を見せつつ、改めて問うてきた。
「ああ、それなんだけどな」
 それから、俺は簡潔に二人に今まであった出来事を話した。
事の起こりから、協力を得て、現状に至るまでを。
「……そうだったんですか。
龍樹さんや結さんがいてくれて、本当に良かったです。
そうじゃなかったら、今頃如何なってたか……」
 話を聞き終えたセイタロウが、苦笑交じりに口を切った。
「そうだね、あたし達だけだったら無理だったもん」
 あーさもまた、それに頷いた。
俺としても、あの人達が身近にいてくれた事に感謝している。
 そうでなかったら、今頃は――そんな風に思うと、ゾッとする。
二人が無事で、本当に良かった。
「でも、大丈夫っすかね? アイツ、その……人外っすけど」
 そこで、シノメが少し不安そうに呟いた。
確かに、相手は人間に化けて陥れるような狡猾な怪異だ。
その不安自体は、おかしくはない。
 だが、俺とあーさは何と無しに視線を泳がせた。
「……大丈夫だと、思うよ? ねぇ?」
 あーさが、ぎこちない様子で俺へと投げかけた。
「ああ、そうだな……大丈夫だと思う、うん」
 俺もまた、お茶を濁すようにぼやいた。
「……あの人達、アレですしね」
 そんな俺達を見て、大体を把握したのか、セイタロウもぬるい表情で視線を逸らした。
「……あ、何と無くオレも解ったかも」
 ややあって、不思議そうだったシノメも呟く。
そのまま、周囲はぬるく静まり返ったものの、それについては誰も何も言えずにいた。
「――あ、」
 と、そこで俺は我に返る。
こんなところで、ぬるく打ちひしがれている場合では無かった。
「今は、それどころじゃなかったな。
とりあえず、脱出しないと」
「! そ、そうでした」
「う、うん、ウッカリしてたね」
 俺に促され、セイタロウとあーさも慌てたように顔を上げた。
「あ、でも、如何やって脱出するんすか?」
 そして、シノメが尤もな事を問いかけた。
「それなんだけどな、そろそろ時間も過ぎる頃だし――」
 言いながら、携帯の液晶に映るタイマーの残り時間を見た時だった。
 バリッ、バチィッ、
「「!?」」
 ラップ音にも似た鋭い音が辺りに響き、俺達は一斉に音のした方へ振り返った。
 バチッ、バリッ
 けたたましい音が、耳に嫌に響く。
それと同時に、空間から何かが這いずり出てくるのが解った。
「……逃がさん、ぞ……」
 喉を潰したような人語を吐いて、ずるりと身を引き摺るように、それは出てきた。
「計画が……全部、水の泡だ……が、未だだ……」
 それは、くすんだ灰色の獣だった。
姿は狸に似ているが、その大きさは人間並にも大きく、模様や顔形も違うように思う。
 何より、まとう気配が普通のそれではなかった。
おどろしい突き刺すような寒気が辺りに立ち込めてくるのが、肌から伝わってくる。
「……コクリ、くん……」
「……アレが、彼の正体……」
 シノメやセイタロウの呟きからして、これが例の怪異で間違いないらしい。
 だが、その姿は二人が知っている姿とは全く違っているのだろう。
二人の表情は、驚きも然る事ながら、遣る瀬無さと諦観に彩られていた。
「参ったよ……あんなニンゲンが、今もいるとはね……。
だが、未だ終わりじゃない……!」
 そして、怪異は吼えた。
牙を剥き出し、その四肢(しし)を引き絞りながら。
「シノメ、セイタロウ! 下がれ!!」
 怪異の狙いは、二人のどちらか――そう気づいた俺は、声を上げた。
同時に、その灰色の体躯が跳んだ。
「「!!」」
「危ないッ!」
 動けない二人を、あーさが寸前で吹っ飛ばした。
流石の運動神経か――灰色の体躯は、風を切ってそのまま二人の上を通り過ぎていく。
「ふぇ~、間一髪……」
「よくやった!」
 あーさのお陰で胸を撫で下ろしたものの、未だ事態は好転したとは言えない。
何より、俺達には対抗手段も無い。
 如何にかして、チーフさんに連絡を取れないものか。
再び、俺の背筋に冷や汗が伝った。
「……大丈夫か?」
「は、はい」
「助かりました……」
 吹っ飛ばされた二人を助け起こしている間に、怪異は既に着地して踵を返していた。
手傷を負っているようで、少しよろけているが……振り撒かれる殺気は、激しさを増すばかりだ。
 まさに、手負いの獣というべきか。
気を張っていないと、あてられてしまいそうだ。
「ちィッ……どいつもこいつも、邪魔ばかりしやがって……!」
 歯軋りする怪異が、再び体勢を低くし、跳びかかろうとした。
 あーさくらいの運動神経なら、何とか避けるくらいは出来そうだが、俺にあの速度は厳しい。
二人は、もっと厳しいだろう。
 何とかして、注意を逸らすなりしなければ。
そう思った、瞬間――。
 ピピピピッ、ピピピピッ、
 タイマーのアラームが、不意に鳴り響いた。
「「!!」」
「タ、タイマー!?」
 驚く二人と、声を上げるあーさを見やりながら、俺は嫌な汗が吹き出た。
此方が注意を逸らされて如何するのかと、その後を想像して、血の気すら引いていく気がした。
 だが、想像したような最悪の事態は、起きなかった。
怪異の様子が、おかしい。
「――」
 チャンスだというのに、怪異は頭を上げ、周囲へと首を巡らしていた。
それは、音に驚いたというより、何かを探っているような風だった。
 その様子をじっと伺っていると、やがて怪異は弾かれたように此方を見た。
「! 貴様等、まさか――」
 バキィンッ!
 怪異が言い終える前に、空間に火花が飛び散り、鼓膜を劈(つんざ)くような轟音が辺りに響き渡った。
予想もつかない出来事に、俺達は驚くしかない。
 バチンッ、バシッ、バキンッ、
 眩い火花と共に、空間がガラスのように音を立てて砕け散っていく。
そして、その砕けた亀裂の隙間から眩い光が差し込み、それは暗く沈んだ内部を照らすように広がった。
「ギァァッ!」
 その光景を呆然と眺めるしかない俺達だったが、突然に響いた叫び声に我に返った。
「ガァッ、ギィアアァァッ!!!」
「「ッ!!」」
 断末魔のような悲鳴をあげる怪異と、俺達の呑んだ息の音が混ざる。
何処から現れたのか、何時の間にか怪異は光の針のようなモノに縫い止められていた。
「……え、これって……」
「もしかして――」
「あぁ、間に合ったな」
 あーさと俺が顔を見合わせていると、バキンと一際大きな音と共に、聞き覚えのある声が響いた。
「悪いな、なかなか手の込んだ面倒な空間でな。
入るのに手間がかかってしまった」
「チーフさん!」
 空間の亀裂から入り込む光から、あーさが呼んだ通りに、チーフさんの長い体躯が現れた。
「え、誰っすか!? 外人サン!? っていうか、長ッ!!」
「それはそうだけど、今はそこ違うでしょ!?」
 一方のシノメとセイタロウは、相変わらずのボケツッコミを繰り広げていた。
やはり、二人としてもチーフさんは長く見えるらしい。
「如何やって、此処へ?」
「結達が、結界にヒビを入れてくれたんだ。
ならば、時間まで待っているより、出向いた方が良いと思ってな。
それで、効力が弱まったところを狙って、失敗作でこじ開けた訳だ。
ただ、此処は広くてな……。
アラームが鳴ってくれて、場所が把握出来て助かった」
 俺が問えば、チーフさんが簡単に説明してくれた。
 詳しいところはさて置き、龍樹さんや結さんが上手くやってくれたお陰で、チーフさんも此処に入れるようになったらしい。
そのお陰で、俺達は事無きを得たようだ。
「とりあえず、小僧達は無事のようだな」
「え? あ、はい! お陰様で」
「スゴいタックルは受けましたけど、大丈夫です」
 そして、チーフさんの視線を受けて、シノメとセイタロウが答えた。
何気にセイタロウの発言に、あーさがついと視線を逸らしたのは、内緒にしておく。
「それは、幸いだ。
あぁ、俺は結と龍樹の同僚かつ上司のような者だ。
チーフとでも呼んでくれ」
「あ、どうも、ご丁寧に……オレ、シノメっす」
「初めまして。
ぼくは、セイタロウです」
「どうも。
さて、コイツの処遇だが」
 そうして、一通りの自己紹介が済んだところで、チーフさんが踵を返した。
 和やかになりかけていたが、今も怪異は光の針に縫い止められ、歯軋りしている。
未だ、気をゆるめるには早そうだった。
「……シノメとセイタロウだったか。
お前達は、如何したい?」
 チーフさんに問われ、シノメとセイタロウが顔を見合わせた。
これについては、決定権は二人にある。
俺とあーさは、そのまま口を噤んで二人の返答を待つ事にした。
「……コクリ、くんは、オレ達とは……仲良く出来ないんだよね?」
 暫くの沈黙の後で、シノメが怪異へと口を開いた。
「……ハッ、ごめん、だ、ねぇ……!
ニンゲンなんぞ、と……仲良く? 冗談じゃ、ない……」
 怪異が、押し潰されたような声のまま、嘲笑と共に告げた。 
その声には、気の所為ではない憎しみのようなモノさえ感じられた。
 如何やら、人間に恨みがあるらしい。
俺達には解らないが、理由も無くこうはならないだろう。
そう思うと、少しばかり見方も変わってくる。
「じゃあ、せめて……此処に留まってる皆を、解放してくれないかな? お願いだよ」
「あぁ、それは……無理、だね。
……此処は、オレの……巣じゃ、ない。
だから、やらない……んじゃなく、やれない、んだ……」
 それでもめげずに頼むように言うと、怪異は苦虫を潰すようにそう答えた。
「……なるほど、お前程度の怪異にしては大したモノだと思っていたが、もらいモノか。
それなら、合点がいく」
 チーフさんの口振りからするに、怪異の返答は嘘ではないらしい。
そこから俺達がその真相を察するのは無理だが、それがシノメにとって残念な返答であるのは確かだった。
「そっか……」
「……シノメくん、」
 そうして、落胆したように肩を落とすシノメに、セイタロウも眉を下げた。
 二人が家に誘われたと俺達に話をした事から察するに、結構な期間をクラスメイトとして過ごしたのなら、情もあるだろう。
例え、その本心が悪意に満ちていたとしても、割り切れるほど大人じゃない。
 俺達がシノメ達の立場だとしても、同じような事をしたはずだ。
ふと見れば、あーさが複雑そうな表情をしていたが、俺も同じような表情なのだろう。
「……あの、チーフさんとしては、彼を如何するつもりなんですか?」
 押し黙ったままのシノメを気遣いつつ、セイタロウがチーフさんに問いかけた。
「……まぁ、この手の怪異は普通なら討伐するべき部類になるだろう。
また被害者が出てからでは、遅いからな」
「‥‥‥」
 その言い分は、尤もだ。
今回の件だけでも、怪異が危険な存在である事は骨身に沁(し)みたし、流石に野放しには出来ない。
 だが、共存する事が不可能だからといって、討伐するのも気が進まない。
俺達の間に、重い沈黙が流れた。
「ハッ……綺麗事、言ってないで……さっさと、殺せば……?
他の……あの、薄墨……みたいに、さぁ……!」
 そんな俺達をこけにするように、或いは、やけくそのように怪異が嗤(わら)う。
怪異の言う『薄墨』とやらがナニかは解らないが、恐らくは同じ怪異なのだろう。
 ただ、言い方からするに、既に討伐されたようだが……。
「……まぁ、お前達が気が進まんというのなら、お前達の知り合いにでも引き取ってもらったら如何だ?」
 そうして、迷い悩む俺達を見かねてか、不意にチーフさんがそんな提案をした。
「え?」
「それって……」
「要は、無力にしてしまえば問題は無い訳だからな。
それならば、それが出来る者に任せれば良いのではないかと、そういう提案だ」
 疑問と共に見上げる俺達の視線に居心地が悪そうにしながら、チーフさんが告げる。
その提案に、俺達はお互い顔を見合わせた。
それは、実に盲点だった。
「そっか、その手が……」
「確かに、討伐するよりその方が良いかもね。
こんな事になったとはいえ、何だか後味悪いのは嫌だし……」
 シノメとセイタロウが、互いに顔を見合わせて頷き合う。
「お前達がそう言うなら、俺達もそれで良いさ」
「うん、オッケーだよ」
 俺達もまた、異論も無く相槌を打った。
命を奪わずに済むのなら、その方が良い。
甘いと解っていても、割り切れないのは仕方ない。
「じゃあ、それで――」
「話は、まとまったようだね」
 お願いします、とシノメが言いかけたところで、被さるように涼しげな声がした。
聞き覚えのある声に、俺達の視線は自然とそちらへ向かう。
「結さん、龍樹さんも」
 俺が声をかければ、前者は微笑みで、後者は軽く手を上げて応えた。
大体解ってはいたものの、怪我も無さそうで安心した。
「お二人とも、今回は色々ありがとうございました!」
「本当に助かりました、ありがとうございます」
「いや、気にするな」
「龍の言う通りだよ。
怪我も無く、元気そうで良かった」
 シノメ達が揃って感謝を口にすれば、龍樹さん達も表情を和らげてそれに返す。
これで、面子が全員揃い、事件もやっと終わりそうだ。
 俺は、人知れず安堵の吐息を吐き出した。
時間としては、俺達が予想するよりずっと早く終わったと思う。
その事に、本当にホッとした。
「無事に終わりそうで、良かったよね」
「ああ、本当にな」
 そんな様子を見て笑いかけるあーさに、俺も素直に頷く。
「おう、ご苦労」
 そんな俺達の一方で、チーフさんが結さん達へと声をかけた。
「そちらもね」
「お疲れ様でした、チーフ」
「聞いてただろうが、そういう事にまとまった」
 そして、労いを交わしつつ、チーフさんがざっくばらんに切り出した。
「あとの人選は、任せる。
俺より、お前達の方が引き取り先の相手と面識もあるしな」
「了解した」
 その尤もな言い分に、結さんが頷く。
「結さん達なら、大丈夫かな」
「そうだね」
 セイタロウとシノメも納得した様子で相槌を打った。
チーフさんの言う通り、やはり知っている分、結さん達の方が安心出来る。
 特に、某紅い人や某ナマモノがウッカリをやらかした時の保険的な意味で。
だから、俺達としても異論は無かった。
「それから、此処の処理だが……」
「ああ、それは問題無い。
そろそろ始まる頃なのでね。
チーフは、彼を捕縛してくれるかな?」
 そして、次の事を切り出そうとしたチーフさんを、結さんが含みを持たせて制した。
「引き渡す前に、彼にはじっくり反省して頂かないといけないからね。
逃げないように頼むよ」
 ステキな眩い笑顔と共に、結さんはぶっちゃけた。
嗚呼、忘れてなかったんですね。
俺とあーさはそっと視線を背けて、内心で合掌した。
「……ああ、解った」
 チーフさんもまた、憐れみの視線を怪異に向けつつ、頷いた。
怪異も何と無く予感がしたのか、顔を盛大に引き攣らせたが、もう如何にもならない。
宣告通り、じっくり反省してもらうしかないだろう。
「……コクリくん、頑張ってね」
 そんな様子を見てか、ステキな笑顔を見てか、シノメも察したように眼をそっと逸らした。
「まぁ、自業自得だけどね」
 一方のセイタロウは、激辛だった。
「……セイタロウ、辛いな」
「うん、辛いね……」
 俺達は、ただ目頭を押さえるしか出来なかった。
「とりあえず、この場は任せて、俺達は外へ出よう」
 そんな俺達を見かねたのか、龍樹さんが促した。
こんな状況下でも、流石に龍樹さんは顔色一つ変えない。
まぁ、実のところは慣れているんだろうけど。
「……それもそうですね。
じゃあ、出るか」
「うん、出よ」
 それはさて置き、このまま残っていても色んな意味でアレだろうと、俺もあーさも素直にそれに同意した。
「そうしましょう」
「あ、お疲れ様っした」
 そして、セイタロウとシノメもそれに頷き、龍樹さんと一緒にその場を後にする事にした。
そのまま、俺達は未だに光を湛えている亀裂へと向かい、振り返らずに入っていった。

***

何だかんだで、長々と書いてきましたが、漸く事件も終わりです。
次のエピローグにて、完結となります。

因みに、この小話は全部で175KBくらいですが、新作の方は400KB以上になります。
……たいへんですね!
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プロフィール

KUROZ

Author:KUROZ
黒いまめっぽいナマモノ。
最近、珈琲がうめぇ。
禿げ散らかすのが気になるお年頃。
まめっぷ。

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