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鏡花水月・後日談小話

風邪で未だに体調不良ですが、何とか生きてます。
私は物凄く鼻が弱いので、すぐ鼻血が出てしまうのですが、風邪を引いた時は殊更悪化します。
もう、くしゃみするだけで吐血みたいな感じになるので大惨事です。
もうやだこの体質!!!
 
そんなこんなで、大変お待たせしましたorz
後日談の小話がやっと文章になったので、一先ずアップします。
今回は、愁夜達サイドの後日談となります。
以後、折を見て別サイドの小話もアップする予定ではあります・・・ネタが出れば・・・!
 
尚、鏡花水月・続編のトゥルーエンド後の日常の一コマなので、ネタバレにご注意を。
大丈夫だぜ!という方は、折り曲げからどうぞ。
 
 
※愁夜視点です。
 
 
 ――『ゲーム』が終わって、二週間後。
俺達は、再び城嶋さん達と楠夫妻に連絡を取り、城嶋さんの知り合いが経営するレストランの一室に集まっていた。
 城嶋さんが上手く話を取り付けてくれたらしく、奥の方の個室は貸切となっていて、積もった話をするには丁度良い。
その心遣いに感謝しつつ、各自軽食や飲物をそれぞれ注文し、一息吐く。
 あの時……持田さん達と共にあの舞台(ステージ)から抜け出した後、城嶋さん達や楠夫妻が迎えに来てくれた時は、正直冷静に話を出来る自信が無かった。
 それに、樹――龍樹さんとも話をしなければない。
返すべき物もある。
 だから、説明をするのに時間が欲しいと、あの時はそう告げた。
それを察してくれたのだろう、城嶋さん達も楠夫妻も追及はせず、そのまま自宅まで俺達を送ってくれた。
 ……それから、色々な事があった。
色々な事を知った。
一口では語れないような出来事が、この短期間で起きた。
 正直に言えば、今でもその全てを把握して整理したとは言えない。
むしろ、考えれば考えるほど思考は絡まってくる。
 けれど、それらを知らなければ良かったとは思わない。
知れて良かったと思っている。
 何より、考えるべき事はそれは山のように積もっているが――それでも、俺達は『ゲーム』によって起きた事が、悲劇だけではなかったと信じている。
 そう落ち着いたところで、改めての説明の場を取ったのが、今日だった。
急な申し出であったにも関わらず、城嶋さん達も楠夫妻も二つ返事で応じてくれて、俺達は本当に良い人達に出逢えたと思う。
「……早いもんだな、あれからもう二週間だ」
 そんな事を思い返していると、城嶋さんが口を切った。
ブラックコーヒーのカップを弄びながら、苦笑ともつかない複雑な笑みを浮かべていた。
「そう、ですね……」
 ホットティーで咽喉を潤しながら、相槌を返す。
俺もきっと、同じような表情をしているのだろう。
「……うん、あっという間でした」
 そして、今日ばかりは隣のあーさも神妙な面持ちで頷き、注文しているのもホットココアだけだった。
 だた、言うまで無く、この場に龍樹さんはいない。
そして、『月ヶ瀬龍樹』の事は伏せて、『鈴原樹』の事として話して欲しいと頼まれている。
 それも、無理は無い。
俺達が知らされた真相は、想像もつかない辛苦に満ちたもので、龍樹さんが樹であった時に頑なに口を閉ざしていたのも当然だった。
 何より、本来ならば俺達と龍樹さんの路は交わるものではなかったのだ。
だが、あの『ゲーム』を切っ掛けに、その路が少しばかり交わった。
 いや、交わったというより、路が隣り合わせになったというべきか。
そう、きっとその方が正しい。
 何故なら、俺達の路は交わらない。
俺達が日向を歩き、龍樹さんが日陰を歩く以上、交われない。
 だから、あれは奇跡的な出逢いだった。
俺達にとっても、龍樹さんにとっても。
 だからこそ、俺達は龍樹さんが日陰を歩み続けるとしても、関わりまで断ち切りたくは無いと思っている。
この出逢いと繋がりを、このまま終わりにしたくない。
 それは、龍樹さんが俺達の事を考えて距離を置くのも解る。
両親を喪い、日陰に身を沈めたその過去を思えば、確かに俺達が引き下がるべきなのだろう。
 でも、俺達だってやっと届いたのだ。
駆けずり回って、手を伸ばして――やっとすくった実なのだ。
 手放すのは、惜しい。
放してしまえば、きっと実は落ちて潰れてしまう。
それを教えてくれた人がいた。
 だから、俺達は申し訳なさを感じながらも、この手を放さない。
少なくとも、その判断をするのは、今ではないと思っている。
 そんな想いと出来事を脳裏で思い返しながら、俺は深呼吸するように大きく息を吐いてから、口を切った。
「……今日は、お忙しいところありがとうございます」
「いや、良いんだよ。
僕達も知りたかった事だからね」
「でも、無理しなくても良いのよ。
未だ、それほど時が経った訳ではないのだし」
 軽く頭を下げると、楠夫妻が声をかけてくれる。
大人らしい気遣いの仕方だった。
「だけど、あんな事を二人で抱え込んでるのもしんどいよな。
吐き出す場ってのは大事だぜ」
 そして、城嶋さんが付け足すように言いながら器用にウィンクする。
何だかんだで、この人はよく見ていると何時も思う。
「うん、そうだよね。
誰にも言わないから、安心して話してね」
「部屋も貸し切ったし、此処まで来たらとことんまで付き合うわよ」
 そして、佐々木さんも北野さんも口々に気遣ってくれる。
逆に言えば、俺達は自分で思っているよりも未だ陰りを引き摺っているのだろう。
 ……今回の『ゲーム』は、全員が生還という訳にはいかなかった。
龍樹さん達や持田さん以外の、ディヴィさんや『グリーフ』と名乗っていた女性は無事だったようだが、正生さんは――。
 俺達の細く途切れかけていた縁を最後に繋いでくれたのは、あの人だ。
だからこそ、俺達の縁と縁を結んでくれた事に感謝しなければと思う。
 哀しんだり、同情するのは簡単だ。
でも、あの人はそれを望んでいない。
だから、忘れずにいようと、そう決めた。
「……少し、長くなるかもしれませんが――」
 そして、隣のあーさと頷き合ってから、『ゲーム』で起きた事を掻い摘んで並べていった。
 龍樹さんの事だけでなく、持田さん達の事もある。
話せる事と話せない事があるのが心苦しくはあったが、それでも出来うる限りの事実を話した。
 言葉にすれば、それは実際に体験した時の何分の一だ。
けれど、だからといってすんなりと吐き出せるほど、未だ時間も経っていなかった。
 でも、このまま抱えるよりは良い。
この人達は、この事実をちゃんと受け留めてくれるだろうから。
「……そうか、そんな事がね」
 暫しの空白の後――眉間をほぐすようにしながら、重々しく太一さんが口を開いた。
 その頃には、湯気を立てていた飲物もすっかりと冷めていて、苦味が増して咽喉を伝っていく。
「持田さん達も、大変だったわね。
元気でいると良いのだけど……」
 冷えた苦味に眉を潜めていると、政子さんがぽつりと口にした。
 前回の『ゲーム』で小沢さんを治療した事もあってか、政子さんも思うところがあるのだろう。
或いは、女性の勘というモノなのかもしれない。
 ……持田さん達の事は、義弟の事は伏せ、ただ同じように巻き込まれたという事にした。
実際のところ、持田さんは強制されたようなものであるし、俺達としても直接被害は受けていないのだからと、あーさと話した結果でもあった。
「ええ……持田さん達も色々事情があったみたいです。
だから、整理がついたら、また逢えると思います」
 そして、今の持田さん達が如何いった状況かは、俺達も実は知らない。
 だが、龍樹さんの事だ、何か進展があったら話してくれるだろう。
だから、今はそう言うに留めた。
「大丈夫ですよ、小沢サンがついてますから」
「そうね……彼女、しっかり者のようだしね」
 あーさも同じように言えば、政子さんも納得したように頷いた。
「で、鈴原とも逢えたんだよな?」
「……えっと、はい」
「逢えはしましたが……」
 逢えたといえば、逢えた――が、そこを突っ込まれると、返答がやはり濁る。
城嶋さんの問いに、俺達は曖昧に頷くしかない。
 龍樹さんとて、城嶋さん達や楠夫妻に逢えるものなら逢いたいだろう。
しかし、その立場を思えばこそ、必要以上に関わり合う事は出来ないし、俺達に逢うのでさえ色々と大変なはずだ。
 実際、音沙汰無かった間も、ずっとそんな葛藤をしてきたのだろう。
龍樹さんはそんな事を口にしなかったが、言動の節々にそう思う事があった。
「はっきりしない返事ねぇ。
それに、今日も来てないし……喧嘩でもしたの?」
「喧嘩なんて、してないですよ。
そういうタイプじゃないの、北野さんも知ってるはずですよ」
 北野さんの疑問に、俺はぬるい笑みで否定した。
そもそも、俺は喧嘩の売り買いをするような血の気は持っていないし、もしも買われた日には大惨事だ。
 俺だって、命は惜しい。
物凄く惜しいのだ。
「まぁね。
神代も結構喧嘩は強そうだけど、鈴原の方が強い感じするしね」
 鋭い、と思わず言いかけ、眼を逸らして口を噤む。
そうして逸らした視線の先で、あーさが更に視線を逸らしていたが、今は不問にしておいた。
「じゃあ、事情があったのかな?」
 そんな俺達を見かねたでもないのだろうが、佐々木さんがぽつりと言った。
「う、うん、そんな感じ、です。
樹クンも、色々難しいところ、ありますから。
ね、しーやクン?」
 佐々木さんの呟きに頷きながら、あーさが振ってくる。
よくぞ空気を読んでくれたものだった。
後でマスドを奢ろう。
「ええ、彼奴も色々と事情があるんですよ」
 我ながら、苦しい言い逃れだった自覚はある。
そんな俺達の眼は、それはもう泳ぎきっていた事だろう。
まるで、死に損なっている生簀の魚のように。
「オイオイ、別に尋問してるんじゃないんだから、そんなに慌てるなよ。
まぁ、事情があるのは確かだろうし、今はそれで良いんじゃないですかね?」
 その様子が、あまりにもアレだったのだろう。
城嶋さんが苦笑と共に、太一さんに振った。
「そうだね。
鈴原君と関わったのは一時だが、彼がいい加減な人間でない事はよく知っているつもりだ。
君達が慌てる理由までは思い至らないが、本人もいない訳だし、追求はしないよ」
 太一さんが頷いて言えば、場の雰囲気もそのようになっていく。
城嶋さんは、やはりそういうところの気遣いが上手いし、有難いと思う。
「そうね。
無事で元気だというなら、今はそれで良いと思うわ」
「太一さんや政子さんが言うなら、仕方ないわね。
まぁでも、あの鈴原だし、秘密の一つや二つはあって当然かもね」
「うん、きっと事情があるんだよ。
だから、急かさないであげようよ」
 そうして政子さんも同意すれば、北野さんも佐々木さんも納得してくれたらしく、それ以上の追求は無かった。
空気を読んでくれたというのもあるのだろうが、今はそれが有難かった。
「……今は、時間が必要なんだろう。
ならば、僕達は待とうじゃないか」
「鈴原くんに、よろしく伝えておいてね」
 そして、楠夫妻が後を締め括る。
「はい、必ず」
「伝えておきます」
 その心遣いに、俺達はしっかりと頷いた。
後は、龍樹さん次第だろうが――俺達もまた、その時を待とうと思う。
「それとね。
君達も未だ、色々と整理もつかず大変だろう。
辛かったら、何でも良いから頼るんだよ。
僕達は、もう他人ではないんだからね」
 そして、太一さんがゆっくりと口を開いた。
優しさの滲む、あたたかな言葉だった。
「……、ありがとうございます」
 それに対して、ただただ感謝するしかない。
 あの『ゲーム』は、生むべきではない因縁を生んだ。
けれども、それだけではなかった。
 人は、独りでは生きていけない。
独りでは縁も生まれない。
 だからこそ、誰かが必要だ。
それが、良縁であれ悪縁であれ――奇縁であれ。
今、それを思い知る。
 
 ――そして、想う。
何時か、皆で笑い合える日が来れば良いと。
 
 
 
***
 
筆が進まなくて全豆が咽び泣いた。
本当にお待たせして申し訳ないorz
別サイドも頑張りますので、気長にお待ち下さい。
あと、四コマもそのうち描くよ!忘れてないよ!!
 
終わりに。
何度か書いていますが、鏡花水月としては続編で終了です。
ただ、キャラ的には濃いのが多いので、スピンオフや別ゲーで出る事もあると思います。
なので、シリーズとしては終了という感じになります。
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プロフィール

KUROZ

Author:KUROZ
黒いまめっぽいナマモノ。
最近、珈琲がうめぇ。
禿げ散らかすのが気になるお年頃。
まめっぷ。

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